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中学卒業後の進路情報(その2)

主として出席が前提となっている学校等

①全日制普通高校
【公立高校】
一時代前と比べると、出席日数不足などの理由で不合格にする公立高校はそれほど多くはなく、入試得点がそれなりに取れれば受け入れる高校が増えてきています。 生徒自身や保護者が、志望動機や学校を休んでいた理由などを書いた「自己申告書」を提出すれば、調査書(内申書)の評定を合否の判断材料からはずし、「自己申告書」と当日の入試得点を合否判断の資料とするといった、不登校生徒に配慮した入試を実施している自治体もあります。ただし、一部の高校を除いて入学試験の成績重視型ですから、不登校によって学力不足におちいっている場合はハードルが高いかもしれません。
また、少子化傾向から、高校によっては定員に満たないところもあり、入学しやすくなっている反面、入学後のカウンセリングなどフォロー体制が整っていない学校もあり、入学したものの再び不登校になり、出席日数不足で留年や中途退学するケースもみられます。

【私立高校】
私立高校でも、入試得点さえ取れれば入学できる高校が多くなっていますが、入学後のサポート体制について考慮する必要があるでしょう。
さらに、私立高校には、不登校や高校中退者を受け入れている全寮制高校もあります。北星学園余市高校(北海道)、白根開善高校(群馬)、えびの高原国際高校(宮崎)などで、その多くは自然のなかでの体験学習を中心としたカリキュラムを組んでいます。親元を離れた共同生活が中心ですから、本人のしっかりした目的意識が大切になるでしょう。

②定時制高校
定時制高校は、かつては働きながら学ぶ人のための夜間の学校というイメージでしたが、現在はかなり様相が変わってきました。働きながら通学している若者は、むしろ少数派になり、不登校を経験した生徒、全日制高校を中退し編入学した生徒、高校受験が思うようにいかなかった生徒など、もう一度やり直そうとする若者たちの学びの場になっています。
定時制のシステムの特徴は、特定の時間帯を学ぶ時間帯として選択できる点にあります。最近ではライフスタイルの変化に対応するために、昼間定時制高校の設立が増えています。
カリキュラムは、学ぶ時間帯以外はほぼ全日制高校と同じで、1クラスの生徒数も20?30人のところが多いようです。
時間や環境的な問題から、卒業率は全日制よりやや低率になっていますが、応募状況はゆるやかで、全日制高校より入学しやすいメリットがあります。ただし、昼間定時制高校の入試倍率は高くなる傾向にありますので、事前のチェックが必要です。

定時制高校の一例チャレンジスクール(都立高校)

不登校や高校中退者などの多様な生徒の学習意欲に対応することを目的として設置された都立高校のことで、通称「チャレンジスクール」とよばれています。
1部(午前)、2部(午後)、3部(夜間)の3部制で、生徒はこの3つのなかから好きな時間帯の授業が受けられる新しい形の定時制高校です。カリキュラムは普通科目と専門科目の両方を学習できるようになっており、卒業までに決められた単位を習得する「単位制」の総合学科であるため、学年の区別はなく、前期と後期の2学期制をとっています。
2000年度に桐ヶ丘高校(北区)、2001年度に世田谷泉高校(世田谷区)、2004年度に大江戸高校(江東区)、2005年度に六本木高校(港区)、2007年度には稔ヶ丘(みのりがおか)高校(中野区)が開校しています(下記「首都圏 定時制・通信制の最新情報」もご参照ください)。
 入試に際しては「志願申告書」を提出すればよく、調査書(内申書)の提出は必要ありません。選抜方法も学力検査は行わず、原則として作文と面接だけとなっています。ただし、最近の両校の応募状況をみると、各校とも、かなりの倍率になっていることが気になるところです(入試倍率については、下記「チャレンジスクール・チャレンジ枠の入試倍率・中退率」の表をご参照ください)。
こうしたチャレンジスクールに相当する試みは、全国各地で少しずつ実施されており、埼玉県では「パレットスクール」(下記「首都圏 定時制・通信制の最新情報」をご参照ください)が設置されています。

首都圏 定時制・通信制の最新情報

■東京都 …定時制、通信制の再編を加速させている
① チャレンジスクール(3部制・単位制)
桐ヶ丘高校(北区/2000年度)、世田谷泉高校(世田谷区/2001年度)に次いで、大江戸高校(江東区/2004年度)、六本木高校(港区/2005年度)、稔ヶ丘(みのりがおか)高校(中野区/2007年度)が開校。
②新しいタイプの昼夜間定時制高校(3部制・単位制)
2005年スタートの一橋高校(千代田区)では、併設される通信制課程との併修可。2006年には浅草高校(台東区)が開校。2007年には、荻窪高校(杉並区)、八王子拓真(たくしん)高校(八王子市)が開校。
③トライネットスクール
「インターネット」の活用と「他都立高校とのネットワーク」の活用を柱とする。2005年に、昼夜・通信制併置の単位制高校として砂川高校がスタート。

■埼玉県 …「21世紀いきいきハイスクール推進計画」にもとづき、昼夜開講の単位制による定時制・通信制高校(通称パレットスクール)がスタート。
戸田翔陽高校(2005年)、狭山緑陽高校(2008年)をはじめ、2013年までに4校が開校される予定。
■千葉県 …「県立高校再編計画」にもとづき、通信制独立校、3部制定時制高校がスタート。
松戸南高校(2006年)、千葉大宮高校(2007年)など。

■神奈川県 …「県立高校改革推進計画」にもとづき、新しいタイプの高校づくりを推進。
フレキシブルスクール⇒[単位制・全日制・定時制]川崎高校、小田原高校(2004年)

[全日制・定時制・通信制]厚木南高校(2005年)など。

チャレンジスクール・チャレンジ枠 の 入試倍率・中退率

学校名 募集人員
(2008年度)
応募人員(2008年度) 入試倍率
(2008年度)
中退率
(2007年度)
男子 女子 合計
大江戸高校
(江東区)
115人 136人 182人 318人 2.77倍 8.3%
桐ヶ丘高校
(北区)
115人 130人 150人 280人 1.70倍 9.7%
世田谷泉高校
(世田谷区)
140人 167人 192人 359人 2.56倍 7.9%
稔ヶ丘高校
(中野区)
165人 136人 182人 260人 1.70倍 5.9%
六本木高校
(港区)
115人 85人 175人 317人 2.76倍 9.5%
八王子拓真高校
(チャレンジ枠)
60人 71人 50人 121人 2.02倍 8.5%

③単位制高校
1学年、2学年といった学年の区別がなく、卒業までに必要な単位を修得すれば卒業が認められる高校が「単位制高校」です。
必修科目以外は、自分の興味・関心に合わせて教科や科目を選択し学習することができ、時間割も自分で作るため、自分の都合に合わせた高校生活が送れる反面、しっかりとした自己管理が必要になってきます。
かつて高校中退者を積極的に受け入れることを目的として設立された都立新宿山吹高校は都立の単位制高校の先駆けですが、いまでは普通科進学校となり、当初の設立趣旨とはかけ離れた高校になっています。最近では、都立隅田川高校や都立飛鳥高校が単位制高校として設立されましたが、たとえば都立隅田川高校は、当初から「進学重視型単位制高校」を打ち出しており、不登校生徒にとって開かれた進路とはいえません。
こうした状況を反映してか、2007年度に開校した都立八王子拓真(たくしん)高校(上記の「チャレンジスクール・チャレンジ枠の入試倍率・中退率」の表を参照)のように、学科試験や調査書(内申書)の提出が必要な一般枠のほかに、作文と面接のみで選抜する「チャレンジ枠」を設ける単位制高校も出てきました。
いずれにしても、単位制高校の場合は、教育方針などについても1校1校に特色がありますから、それぞれの違いについて、しっかりと把握しておく必要があるでしょう。

④インターナショナルスクール(日本にある海外の学校)
インターナショナルスクールは、外国の大学・高校と連携して設立されているため、卒業しても日本の高校卒業資格は取得できませんが、海外へのホームステイや本校への留学システムなどもあり、卒業後は現地の大学への推薦入学制度がある学校もあります。
 また、インターナショナルスクールを卒業すると、帰国子女枠で受験できる日本の大学も増えています。外国人生徒との交流から学ぶことも多く、日本の教育制度に合わないという人には、ひとつの選択肢となるでしょう。
インターナショナルスクールに入学することで、国内にいながら異文化体験を味わうことができ、実践的な語学力を身につけながら、新しい自分を探す機会になるかもしれません。

⑤高等専修学校
専修学校には、中学校卒業者を対象とした高等課程(高等専修学校)、高校卒業者を対象とした専門課程(専門学校)、そして、これ以外の教育を行う一般課程の3つがあります。いずれも職業や実生活に役立つ教育を基本として、柔軟な制度の特徴を生かし、特色のある教育を実践しています。
個性重視の教育が求められるなかで、高等専修学校は、教育、保健医療、社会福祉、商業実務、服飾・家政など多岐にわたる教育を行っています。また、高等専修学校には、不登校経験者や高校中退者を積極的に受け入れている学校もあります。将来の進路がはっきりと決まっている人や特定の専門分野の勉強をしたい人にはふわさしい進路といえるるでしょう。
さらに、高等専修学校のなかには「大学入学資格付与指定校」になっている学校もあります。大学入学資格付与指定校の卒業者は、高校卒業者と同等以上の学力があると認められ、自動的に大学入学資格が与えられて、大学や短大を受験することができます。

高等専修学校における技能連携制度

高等専修学校、あるいは企業内の職業訓練校などで、技術や技能を習得するための教育を受けながら、定時制高校や通信制高校で学んでいる人がいます。この場合、専修学校や職業訓練校で行っている技術・技能教育のなかには、専門高校で学ぶ水準以上の内容もあり、そうした学校で学んだ内容を高校の単位として認定し、学習の重複を解消しようとする制度が技能連携制度です。
専修学校や職業訓練校での学習が高校の単位として認定されるためには、それらの学校が教育委員会に指定技能教育施設として認可されていることが必要です。この指定技能教育施設を一般的に「技能連携校」とよんでいます。

中学卒業後の不登校の子どもたちのための進路情報

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