小学生6年という節目を迎えて
中高一貫校での不登校と進学問題
自分の不登校について誰かに話すことを非常に嫌がる小学校6年生の女の子
いま通っている学校をやめようと思っている高校1年生
高校進学を目前にして、突然、不登校になった中学3年生の男の子
「中学に通わずに勉強できる方法はないの?」という小学6年生
「自分は不登校だから大事に扱って」と主張する中学1年の女の子
内申のない子どもに開かれた進路とは
“集団”のなかに入っていこうとしない高校生
「高校どうしようかな」と口にするものの、 まったく動き出す気配のない中学3年生の女の子
大検(高等学校卒業程度認定試験)を受けて大学に進学したい
登校刺激をすると大声を出したり、ものを投げたりする高1の女の子。見守っているだけで、転機はくるのか
小中高とずっと不登校ぎみで、サポート校に転入後も休みがち。 将来、自立できるのかと不安
高校卒業後の進路問題
無理して学校に行っているように見える中学1年の男の子
【回答】海野 千細
ひとつは、「集団」というものをどのように考えるかなんですが、私は、家族も立派な集団だと考えています。ですから、お父さんお母さんが、家族以外の集団に入れようということにあまりにも思いが行きすぎると、今のお子さんの気持ちとズレることがあります。逆に、今、足もとにある家族の集団生活をどう過ごすかを、まず大事に考えたらいいと思います。
このご質問で大事なところがありまして、夏休み以来ひきこもっていたお子さんが、「今年4月から通信制高校に転入しました」とありますが、この新しい進路先を、本人が選んだのかどうかが大きなポイントになると思います。人から言われてそうしたのではなく、お子さん自身が自分でそこを選んだという部分が少しでも出てくると、その結果を引き受けるという気持ちがより強くなります。
そう考えると、転入したあとに「1~2週間に1回のスクーリングに行くこと、レポートを提出することだけはやっています」とありますが、これだけやるのもけっこう大変だと思いますよ。ひとりでそれができないからサポート校という存在があるくらいですから。お父さんお母さんからすると最低限のことのように見えるかもしれませんが、必要最低限のことをやれているとしたら、その現状を十分に認めてあげたらいいんじゃないかなと思います。
そして、非常に細いパイプではあっても、そういうかたちで通信制高校とつながって、必要最低限のことをやっていると、行った先で人とのかかわりがあるんですね。最初は誰かと話すということもないかもしれませんが、何かのきっかけで話したり、なんらかのかかわりができたりといったことが出てきます。初めから多くを求めてしまうと、どうしてもお子さんのペースと合わないことがありますので、今、わずかに動いているパイプがだんだん太くなるというふうにイメージしていただいたほうがいいかなと思います。
先ほど、A子さんの話にも出てきたように、新しいところへ移ったからといって、最初からすんなりみんなと同じように生き生きと活発にやれるわけではないんです。とくに転入とか、場を変えるということを経験したときは、前がうまくいっていないと、「今度こそうまくやらなきゃ」という思いで、すごく気をつかったりします。そうすると、必要以上に疲れたり、そこで崩れだすと「自分は、やっぱりまだダメなんじゃないか」というような思いも出てきたりしますから、場が変わった当初は、なかなかうまくいかなくて当たり前なんですね。ですから、必要最低限のことを維持できているということを、まず喜んであげることが大事なんじゃないかなと思います。
ただ、親にしてみると、今の状態は、何か真っ暗なトンネルのなかで、前に進んでいるのか、後ろに戻っているのか、どこにいるのかさえよくわからないという状況であるのは確かだと思います。ですから、お母さんが、たとえば相談機関とか親の会、こうしたセミナーなどを活用して、ほかのお子さんの例をご覧になったり、耳にしたりすると、自分のお子さんの状態が、今どのへんにあるのかなというのが、多少見えてくるきっかけになるかもしれませんね。