小学生6年という節目を迎えて
中高一貫校での不登校と進学問題
自分の不登校について誰かに話すことを非常に嫌がる小学校6年生の女の子
いま通っている学校をやめようと思っている高校1年生
高校進学を目前にして、突然、不登校になった中学3年生の男の子
「中学に通わずに勉強できる方法はないの?」という小学6年生
「自分は不登校だから大事に扱って」と主張する中学1年の女の子
内申のない子どもに開かれた進路とは
“集団”のなかに入っていこうとしない高校生
「高校どうしようかな」と口にするものの、 まったく動き出す気配のない中学3年生の女の子
大検(高等学校卒業程度認定試験)を受けて大学に進学したい
登校刺激をすると大声を出したり、ものを投げたりする高1の女の子。見守っているだけで、転機はくるのか
小中高とずっと不登校ぎみで、サポート校に転入後も休みがち。 将来、自立できるのかと不安
高校卒業後の進路問題
無理して学校に行っているように見える中学1年の男の子
【回答】田中雄一
ご質問のなかに「普通の就職や進学は難しいのではないか」とありますが、それが、能力的なことなのか、人間関係についてのことなのか、あるいは、コミニュケーションがとりずらいということなのかが、この文面だけではちょっと判断がつきません。
そこで、進路という側面にしぼって考えてみたいと思います。
民間の教育機関のなかには、高校卒業後、集団のなかで社会性を身につけて、生活力を向上させるための学校があります。そこに入学して、社会性を身につけるための勉強をしながら、その子に合った仕事は何か、その子にできる仕事は何か、あるいは、進学を考えているのなら、何を勉強したいのか、そういったことをじっくり1年くらいかけて見極めながら、その後の進路を考えていくのがいいのかなと思います。
【回答】海野 千細
お子さんの状況にもよると思いますが、勉強ができるできないにあまりこだわらないお子さんで、人間関係もそこそこできるようであれば、何とか大学や民間の教育機関にもぐり込むというのも、ひとつの考え方だと思います。“どこかに籍がある”というのは、案外、安心感につながるものですから。
ちょっと先の話になりますが、あと2~3年すると、大学は全入時代が来るといわれていますよね。そういう意味でいうと、とにかく大学に入ることで、自分の籍、社会のなかでの自分のある地位を確保しておいて、好きなことをする、そのための時間かせぎに大学を利用するといった発想もひとつあるかなと思います。
一方、人間関係があまり得意ではなく、勉強するのも絶対嫌だというお子さんであれば、仕事というか、その子を理解して、よく面倒をみてくれる人がいる小人数の会社とかお店とかで、見習いのような感じで勤められるところがあれば、そういうかたちほうがその子が落ち着くかもしれません。
まあ、時給もごくわずかだろうし、それこそ最初のうちは、逆に親御さんのほうがお金を出して、雇い主の方に「これをお給料として、うちの息子に渡してください」といった根回しをして、何とか面倒をみてもらうというくらいのことが必要になるかもしれません。そのなかで、少しずつ仕事を身につけていくというかたちをとるのも、ひとつのアプローチかもしれません。
そうした環境がうまく見つかるかどうか、なかなか難しいかもしれませんし、そのためにも親御さんが相談できる機関などが身近にあるといいのですが、現実には、高校生から20歳前後までのお子さんを対象とした相談機関が非常に少なくて、相談しにくい状況もあると思います。ですから、そのあたりの公的な相談機関などの情報を少し集めておいたほうがいいかもしれませんね。
【回答】小澤 美代子
時間も少なくなってきましたので、手短にお話ししますが、私は、このご質問のなかの「普通の就職や進学は難しいのではないか」というところがちょっと引っかかって、この親御さんが「普通」と考えておられるのは、どういうことなのかなと気になりました。
もしかしたら、親御さんが若かった頃の常識というか、たとえば「高校をきちんと卒業しなければ、まともな就職や進学もできない」とか、「新卒で就職できなかったら将来は絶望的だ」と思っておられるとしたら、そのへんは、今は非常にゆるやかになっているということを理解していただきたいと思います。
たとえば、大検、これは「高卒認定試験」と呼び方が変わりましたが、今では、大学の受験資格が得られるだけでなく、就職やさまざまな資格試験の際にも、高校卒業者と同じ扱いが受けられるようになっています。
進学の場合も、今は、社会人の学習が本当に進んでいて、個人的なことで恐縮ですが、私が夜間の大学院に入ったのは55歳のときです。そして、その大学院の平均年齢は45歳くらいで、みんな社会人でした。このように、今は何歳になっても、高校はもちろん、大学や大学院でも学べるようになっています。
そういう意味で、お子さんに対しても「普通の就職や進学は難しい」「こんなふうでは、この先の人生は真っ暗だ」というように、あまりプレッシャーをかけないで、「大丈夫」「いくらでもチャンスはあるよ」と言ってあげたほうがいいのではないかなと思います。