小学生6年という節目を迎えて
中高一貫校での不登校と進学問題
自分の不登校について誰かに話すことを非常に嫌がる小学校6年生の女の子
いま通っている学校をやめようと思っている高校1年生
高校進学を目前にして、突然、不登校になった中学3年生の男の子
「中学に通わずに勉強できる方法はないの?」という小学6年生
「自分は不登校だから大事に扱って」と主張する中学1年の女の子
内申のない子どもに開かれた進路とは
“集団”のなかに入っていこうとしない高校生
「高校どうしようかな」と口にするものの、 まったく動き出す気配のない中学3年生の女の子
大検(高等学校卒業程度認定試験)を受けて大学に進学したい
登校刺激をすると大声を出したり、ものを投げたりする高1の女の子。見守っているだけで、転機はくるのか
小中高とずっと不登校ぎみで、サポート校に転入後も休みがち。 将来、自立できるのかと不安
高校卒業後の進路問題
無理して学校に行っているように見える中学1年の男の子
【司会】池亀 良一
A子さんは、ストレスがたまったときは、どうしていたんですか。
【回答】A子さん
さっきもお話ししたんですが、歌を歌ったり、とにかく声を出すということと、あとはピアノを弾いて感情を吐き出すというのもありました。ゆっくり弾くと落ち着いたり、気持ちをぶつけたいときは激しい曲を弾いたりというように、いろいろやっていました。
たまに、ものをめちゃくちゃに投げて、部屋のなかをグチャグチャにしたりということもあったんですが、「あとかたづけは自分でしなさい!」と親にいわれてからは、面倒なので(笑)、やらなくなりました。
【回答】海野 千細
きっと、今、この親御さんとしたら、「本当に、このままでどうなっちゃうんだろう」という思いで、お子さんと一緒に家にいるような状況が続いているのだろうと思いますが、「こづかいをもらって」というところで、ちょっとホッとしました。
というのは、不登校の状態になってしまったお子さんから、こづかいを取り上げてしまうご家庭が、ままあるからです。あの…こづかいはあげてください。人並みでけっこうですから。
なぜかというと、こづかいをあげないということが、子どもにとって“罰”として受け取られていることがあるんですね。親御さんにしてみると、「どうせあんた外へ行かないんだから、こづかいなんか必要ないでしょ」という感じで回収されていたり、クリスマスや誕生日、お年玉なんかもみんな親御さんが牛耳っていて、一切自由になるお金がないという状況になる場合もあります。でも、不登校だからといって、別に悪いことをやっているわけではないですから、罰を与える必要はないです。
やはり自由になるお金があるということが、次の行動の大事な手立てになりますから、おこづかいは、学校に行っていようが行っていまいが、その子に自主性や自発性を与えるうえでも非常に大事な資源なんです。
それから、「CDやマンガを買いに外出する」とありますが、見方を変えれば、「CDやマンガを買いに」わけですよね。ですから、それは、ちゃんと外に関心が向いているということです。だから、ひきこもって自分の世界に閉じこもっているわけではなくて、外に出られているということで、「ああ、外に関心もあるんだな」というふうに考たらいいです。
そのあとの「登校刺激をしたり、自分の思いどおりにならないことがあると、怒って大声を出し、まわりにあるものを投げたりします」という部分ですが、さっきA子さんが話してくれた状況とどのくらい重なるのかわかりませんけれど、やはり何か腹が立ったり、嫌なことがあったりすると、ワーッッ!!となりますよね。これは、ちょっと言葉が変かもしれませんが、出せること自体はとてもいいことなんです。むしろ出せないで、たとえば体にいろいろなかたちで出たりして心身症になるくらいだったら、よっぽど外に出たほうが、その子の精神衛生にはいいです。
でも、お父さんお母さんにとっては、受けとめにくくて、怖いといった感じになると、はれものに触るようなというか、このご質問にもあるように「じっと見守っているだけです」みたいな状況になりやすいです。
ただ、この場合、お母さんは見守っているつもりなんですが、怖いという思いがあったりすると腰が引けていますから、お子さんのほうは、何か見放されているんじゃないかというような思いをしている場合もあるんです。
そう考えると、「見守る」ということは、文字どおり、ただ見て、じっと待機しているようにみえますが、もう少しわかりやすく接してあげると、お母さんの気持ちが伝わりやすいかなと思います。具体的にいうと、私はよくこんなふうに説明するんですが、お子さんが「安心すること」「喜ぶこと」「元気になること」だったら、どんどんしてあげるといいです。そのときに大事なのが、交換条件をつけないこと。「こづかいを上げてあげるから、12月から学校に行くのよ」というのはしないで、ということです。
そのへんで、お母さんが自分に対して温かい気持ちを届けてくれているというのが、お子さんに伝わると、お子さんとの関係が少しずつ動いてきます。すると、お母さんが、その子の「怒ること」「嫌がること」「不安になること」をすると、だいたい、子どもがそういうかたちで表現してくれますから、「ああ、悪かったな」とあやまったらいいです。
そんなことを、ちょっと考えてみたらどうでしょうか。