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登進研のチエブクロウ(3)受容と甘やかしのちがいは?
「登進研のチエブクロウ(知恵袋)」は、不登校について多くの親御さんが疑問に思っていること、悩んでいることを取り上げ、疑問解消や問題解決のヒントとなる情報をご紹介するページです。
これらの情報は、これまで登進研が行ってきたセミナーの講演、体験談などから採録したものです。お子さんへの理解を深め、よりよいかかわり方を考えるうえで、お役立ていただければ幸いです。
◇ 受容と甘やかしのちがいは交換条件のあるなし。「こうすれば学校にいくだろう」と思ってやることは、必ず甘やかしになる。
海野千細(八王子市教育委員会学校教育部教育指導課心理相談員)
子どもを「受容する」ということは、言いなりになることでも、好き勝手にさせることでもありません。
「あなたはこんなふうに感じたんだ」「こんなふうにやりたいんだね」と認めるだけのことであって、もし、「それは、いまのわが家の状況ではできない」ということなら、そう説明して断っても全然かまいません。
ただし、そのときに交換条件をつけて、「あなたの言うとおりにしてあげるから、代わりに○○しなさい」という“かけひき”をすると、「甘やかし」になります。たとえ口に出さなくても、親の側に「こうすれば学校に行くだろう」「○○するだろう」という下心があれば、同じことです。
これがなぜいけないかというと、交換条件をつけると、子どもは本当の意味で親が受け入れてくれたとは思えず、「親の要求をきかなければ、親は私のことを認めてくれないんだ」という感じ方をしやすいからです。
そうなると、いつまでも不満が残ったり、今度は子どもがその論理を使って、「学校に行くから、○○買って」などと言うようになり、要求はどんどんエスカレートしていきます。
◇ 過保護とは、親が子どもの手足になってしまうこと。過干渉とは、親が子どもの頭になってしまうこと。
田村節子(東京成徳大学大学院教授)
親が子どもの手足になるとは、たとえば、子どもに「おやつはどこ?」と聞かれたとき、「○○にあるよ」と答えるのではなく、実際におやつを持ってきてあげる。つまり、子どもが自分でできるのに、代わりにやってしまうことが「過保護」です。
一方、「過干渉」とは、子どもの頭になってしまうこと。子どもが「塾に行きたい」と言ったときに、親が「あそこの塾がいいよ」と言ってしまう。あるいは、子どもが言い出す前に、親が「塾に行ったら?」と世話をやく。つまり、親が答えを出してしまい、子どもが自分で考え、実行することをさまたげてしまうのです。
◇ ①行為を叱る ②蒸し返さない ③その子の立場を考える ④比較しない ⑤逃げ道をつくる 叱り方の5原則です。
岩佐壽男(家庭ケースワーク研究所所長)
①行為を叱るとは、たとえば、「朝8時に起きる」と約束したのに起きてこないとき、約束を守らないという「行為」を叱るということ。ご両親の多くはそこから横すべりして、「お前はいつもそうだ」「だからダメなんだ」とか、その子の性格にまで話が広がってしまいがちです。行為は叱ってもいいが、人格にふれる叱り方をするな。子どもを叱るとき、この視点だけはブレてはいけません。
②蒸し返さない(一度、叱ったことを何度も言わない)、③その子の立場を考える(ほめるときはみんなの前で、叱るときは一対一で)、④比較しない(きょうだいや友だちなど、ほかの人と比べてお前はダメだという叱り方をしない)ことも大切です。
そして、⑤逃げ道をつくること。とことん追いつめて、言い訳がきかない状態にすることは、人格をひどく傷つけることになりかねません。それには、親が怒ってしまったらダメ。「叱る」と「怒る」では大違い。親はつい感情的になって、叱っているつもりが、怒る、どなるということになりがちですから気をつけたいものです。
◇“幼児がえり”で甘えてきたときは…
海野千細(八王子市教育委員会学校教育部教育指導課心理相談員)
不登校中の子どもは、さまざまな不安や悩みを抱えるために、“幼児がえり”(退行現象)の状態になる場合があります。中高生が、お母さんの布団で一緒に寝たがるといったことも少なくありません。
そのとき、「なによ、中3にもなって」と突き放すのではなく、その子の不安な気持ちに寄り添って、安心できる居場所を提供してあげることが大切です。
でも、すでにヒゲも生えてきた思春期の息子と一緒に寝るなんてキモチわるい…といった状況もあるでしょう。そんなとき、無理をする必要はまったくありません。一緒に寝るのがちょっと苦痛なら、別々の布団に寝て、手だけ握ってあげるとか、要は気持ちをわかろうとしてつきあうことが肝要です。
無理をすると必ず、「これだけやってあげたのに…」という跳ね返りがあとで来ますので、無理のない範囲で、その子の気持に応じられるかかわりが、それぞれ見つかればいいのかな、と思います。