第26回 第34回 第39回 第40回
第44回 第53回 第54回
第55回(第1部)
第55回(第2部)
第57回 第58回 第59回 第61回
第62回 第63回(第1部) 第63回(第2部)
2023年度 2022年度 2021年度 2020年度 2019年度 2018年度 2017年度 2016年度 2015年度 2014年度 2013年度 2012年度 2011年度 2010年度 2009年度 2008年度 2007年度 2006年度 2005年度 2004年度 2003年度 2002年度 2001年度 2000年度 1999年度 1998年度 1997年度 1996年度 1995年度 2019年度 2018年度 2017年度 2016年度 2015年度 2014年度 2013年度 2012年度 2011年度 2010年度 2009年度 2008年度 2007年度 2006年度 2005年度 2004年度 2003年度 2002年度 2001年度 2000年度 1999年度 1998年度 1997年度 1996年度 1995年度
2010年2月14 日(日)■登進研バックアップセミナー71
不登校-「動き出したい、動けない」葛藤を支える
心のブレーキとなっている不安に耳を傾けると、安心と希望を与える対応が見えてくる
あけましておめでとうございます。初詣に行かれた方はどんなお願いをされたのでしょうか。
この一年がみなさまにとって素晴らしい年になりますよう心よりお祈りしております。今年もみなさまの気持ちが少しでも軽く明るくなるように、アンケート等でお寄せいただいた悩みやご要望に応えられるセミナーにしたいと考えておりますので、よろしくお願いします。
さて、一時の勢いはなくなったものの、相変わらず新型インフルエンザが猛威をふるっています。受験をひかえたお子さんの場合、とくに注意が必要ですが、インフルエンザも含めて、一般的に風邪にかかるといちばん辛いのは発熱です。38~39度もの熱が出るとフラフラ状態で、ほとんど何もする気が起こらなくなってしまいます。
これは不登校状態にある子どもたちの状況とよく似ているような気がします。進学や進級など大きな節目を目前にしたこの時期、子どもたちのなかには、「そろそろ動き出さないとやり直すチャンスを失ってしまう」という焦りとともに、「新学期になれば、新しい気持ちでやり直せるかも」といった希望が生まれることも少なくありません。
ところが、「学校に行かなくちゃ」「進学に備えて動く準備をしなくちゃ」という気持ちはあるものの、心に熱があって動けないのです。体は元気でも心にブレーキがかかっているため、勉強する気も起こらず、まして、他人と会ったり、話したりするのがつらいわけです。
では、「学校に行かなくちゃ」という焦りと「でも行けない」というジレンマのなかで、次の一歩を踏み出せない子どもたちに対して、親はどう向き合ったらよいのでしょうか。
* * *
そこで、今年最初の登進研セミナーの【第1部】は、「不登校-『動き出したい、動けない』葛藤を支える~心のブレーキとなっている不安に耳を傾けると、安心と希望を与える対応が見えてくる」というテーマで幕開けです。
不登校が長期化すると、子どもたちは何かきっかけがないと動けないものです。大きなきっかけとなるのは、小学校から中学校、中学校から高校へと進学するときでしょう。とくに中学3年生はもっとも動こうとする気持ちが高まるときです。次にきっかけになりやすいのは学年の変わり目ですが、いずれの場合も、この3学期の対応がポイントになります。しかし、むやみに背中を押すのは考えものです。子どもたちはきっかけを活かして動き出そうとする一方で、「クラスが変わると心配」「入れる高校はあるのかな?」「友だちは自分のことをどう思っているんだろう」「勉強がわからない」など、小さな胸に抱えきれないほどの不安を抱えているからです。
そこで、今回はスクールカウンセラーとしての豊かな経験をもつ伊藤美奈子さん(慶應大学教授)を講師に迎え、この時期の子どもの心理と状況に応じた的確な親の対応について、さまざまな事例を交えてお話ししていただきます。子どもの不安と葛藤をどう理解し、どうサポートすればよいのか。背中を押すべきとき、逆に押してはいけないときの見極め方など、親としてぜひ知っておきたい内容が盛りだくさんです。ご期待ください。
【第2部】は、第1部の講演内容を受けながら、具体的な疑問や質問を取り上げ、その子の状態に合った対応を考える1問1答「希望につなげる節目の活かし方」です。前回、参加者のみなさまから寄せられた質問に4人の講師が回答するとともに、「お子さんをその気にさせる言葉」「葛藤や不安をやわらげる言葉」もプレゼントしていただきます。回答者は、小澤美代子さん(千葉大学大学院教授)、霜村麦さん(臨床心理士)、池亀良一さん(代々木カウンセリングセンター所長)、荒井裕司(登進研代表)、司会は齊藤真沙美さん(世田谷区教育相談室心理教育相談員)です。第2部の最後には、参加者のみなさまが互いに語り合う「Share(シェア)」の時間も設けます。 取り上げる質問はこちら>>
【第3部】の個別相談では、不登校に関する心と進路の問題について、カウンセラーと専門相談員が一対一でお応えします。個別相談は事前のお申込みが必要で先着30名様に限らせていただきますので、ご了承ください。また、今回、人数制限にもれた方のご相談については、後日、当研究会の連携機関である代々木カウンセリングセンター(電話03-3370-6775)で対応させていただきますので、お気軽にお問い合わせください。みなさまのご参加を心よりお待ちしております。
◆プログラム
【第1部】講演「不登校-『動き出したい、動けない』葛藤を支える」
講師 | 伊藤美奈子(慶應大学教授) |
【第2部】1問1答「希望につなげる節目の活かし方」取り上げる質問はこちら>>
講師 | 小澤 美代子(千葉大学大学院教授) 霜村 麦 (臨床心理士) 池亀 良一(代々木カウンセリングセンター所長) 荒井 裕司(登進研代表) |
司会 | 齊藤 真沙美(世田谷区教育相談室心理教育相談員) |
【第3部】個別相談
2009年12月6日(日)■登進研バックアップセミナー70
不登校克服へのストーリー
5人の専門家が出会った子どもたちが回復するまでの道筋
11月なのに25℃の「夏日」が訪れたかと思えば、翌日には「木枯し一号」が吹き荒れるという不順な天候が続いています。ジェットコースター並みの気温の急変で、体調をくずした方もおられるかもしれません。
急激な環境の変化や強いストレスに襲われたとき、心や体が悲鳴をあげるのは、大人も子どもも同じこと。その結果、体の具合がわるくなったり学校に行けなくなるのは、心や体が「少し休もうよ」とSOSを発信しているから。それは生物としての正常な反応です。そして、疲れた心や体が癒えるまでには、大人も子どももそれなりの時間を必要とするようです。
14年前に始まった「登進研バックアップセミナー」は、今回で70回を迎えます。長く続いてきたことに感謝と喜びを感じながらも、その背景に不登校の増加があることを思えば、気持ちは複雑です。
わたしたちはいつも、このセミナーに「来てよかった」と言ってくださる参加者の方々に「また来てくださいね」と思う一方で、「一日も早く、ここに来なくてもいい状態になればいいな」と願ってきました。これからも、みなさまが一日も早くこのセミナーに来る必要がなくなることを願いつつ、そのために役立つ情報を発信していきたいと思っています。
そこで今回のセミナーは、70回記念シンポジウムとして「不登校克服へのストーリー~5人の専門家が出会った子どもたちが回復するまでの道筋」をテーマに、長年、不登校支援の最前線で子どもたちと向き合ってきた5人の専門家(下記参照)を講師に迎え、学校に行けなくなった子どもたちが、再び自分の足で歩きだすまでの道筋には、どんな課題があり、それをどう乗り越えてきたのか、そのために必要な支援とはなにかを、みなさまと一緒に考えてみたいと思います。
第1部の講師は、千葉大学大学院教授の小澤美代子さんをはじめ、地域の相談センターや医療機関のカウンセラー、不登校生を受け入れている学校の教師、ひきこもりの子どもたちの家庭訪問を続けている当研究会代表など5人の専門家です。
第1部では、まず5人の講師に、それぞれの現場でどんな支援を行っているのか、それによって子どもはどう変わっていくのか、どんな対応が立ち直りの契機になったのか等について、メンタル面の支援だけでなく、学習の遅れや進路の支援も含め、具体的な事例をまじえてお話ししていただきます。そのなかで、不登校の子どもたちがどんなプロセスを経て回復に向かうのかという、その道筋を明らかにしていきたいと考えています。
もちろん、不登校の子どもたちがたどる「克服へのストーリー」は一人ひとり異なります。しかし、さまざまな事例を見ていくと、それぞれ異なるストーリーのなかに、いろいろな共通点があることに気づきます。たとえば、新たな一歩を踏み出そうとするとき、どの子も必ず通るプロセスがあります。そのときにあらわれる言動にもたくさんの共通点があります。そうした共通の道筋を知ることは、子どもへのかかわり方に悩むご両親にとって大きなヒントとなるでしょう。
不登校状態から回復するまでのプロセスについて、さまざまな立場の専門家の話を聞くことのできる機会はなかなかありません。長年の経験から培われた専門家のノウハウには、「子どもの変化は、親が望んでいることとは一番遠いことから始まる」「動きはじめたら、背中を押すより、後ろにひっぱる」「再登校は、休み休み行くくらいがちょうどいい」「何よりも親自身の精神衛生を保つことを一番に考える。その次に子どもの気持ちを考えればいい」など、目からウロコが落ちる指摘がたくさんあります。
今回のシンポジウムでは、こうしたプロのノウハウはもちろん、学校の先生への対応のポイントや、カウンセリング・心療内科・精神科の違いなど、親として知っておきたい基礎知識についても解説していただく予定です。その後、会場からの質問に答える時間も設けます。
第2部の個別相談では、不登校の心と進路の問題について、カウンセラーと専門相談員が一対一でお応えします。なお、個別相談は、事前に申し込みをいただいた方のうち先着30名様に限らせていただきますので、あらかじめご了承ください。
みなさまのご参加を心よりお待ちしています。
◆プログラム
【第1部】シンポジウム「不登校克服へのストーリー」
講師 | 小澤 美代子(千葉大学教育学部教授) 木津 秀美(富士見市教育相談室心理教育相談員) 小林 和貴(サポート校教師) 荒井 裕司(登進研代表) |
司会 | 霜村 麦 (臨床心理士) |
【第2部】個別相談(心と進路の相談/下記のとおり事前申込みが必要です)
2009年10月24日(土)■登進研バックアップセミナー69
不登校-長期化に活路をひらく登校刺激
2つのチェックリストで状態に合わせた適切なかかわり方が見えてくる
日一日と晩夏から秋へ季節が移り変わっていきます。心が疲れていると、こうしたゆるやかな自然の変化も見落としがち。たまには、ちょっと空を見上げてみませんか。秋空はひときわ高く澄みわたっています。野原ではススキが揺れ、コスモスも可憐な花を咲かせています。季節からの贈り物は、あなたをちょっぴり元気にしてくれるでしょう。
「夏休み明けから行けなくなって、もう4週間になる」「入学式に行っただけで、半年間ずっと休んでいる」「中学校に1日も通わずに中3になってしまった」……お子さんの状況によっても長期化の意味合いは異なりますが、不登校が長引いてくると親のほうだって疲れてきます。目の前のわが子は、毎日ゲームで時間をつぶしているだけ。いいといわれる対応をやりつくし、それでもなんの変化もみられないわが子を見ていると、一種あきらめのような気分におちいるのもしかたのないことかもしれません。
「長期化してくると、黙って見ていたほうが親としてはラクだったりする部分もあるし、その一方で、やっぱりこのままではいけないと思ったり、いつも葛藤があります」
「いつになったらわが子が動き出すのかも、自分の対応が正しいのかどうかもわからない。このままひきこもりになってしまうのでは、という不安とあせりばかりがつのります」
解決への一歩は、こんな親御さんの不安を解消することから始まるのかもしれません。
* * *
今回、「不登校─長期化に活路をひらく登校刺激」をテーマに【第1部】の講師を務めていただくのは、登校刺激研究の第一人者・小澤美代子さん(千葉大学教育学部教授)。小澤さんは、不登校の状態を初期・中期・後期の3段階に分けてとらえ、現在、わが子がどの段階にあるかがわかる「状態像チェックリスト」と、段階に応じた対応のしかたを示す「回復を援助するかかわり方チェックリスト」を開発されました。今回は、この2つのチェックリストを参加者のみなさまに配付し、それを使いながら講演をすすめます。
小澤さんは「不登校のいちばんの問題は、長期化することによってさまざまな不利益が起こること。しかし、長期化したとしても日々子どもは成長していることを忘れてはいけません。だからこそ、子どもの成長を促すかかわり(登校刺激)が必要です」と言います。
小澤さんのいう「登校刺激」とは、わが子が元気になることを願う気持ち、かかわり、言葉かけなど、親のかかわりのすべてを意味しています。
「登校刺激は薬のようなもので、種類もいろいろあるけれど、使い方をまちがうと副作用が出ます。正しい見立てが大切ですが、的確に処方されれば効果的」というのが小澤さんの持論です。不登校が長期化したときの子どもの状態像を正しくチェックしながら、それにもとづいた適切な登校刺激のあり方をいっしょに探ってみたいと思います。
【第2部】は、ご夫婦での参加が多い当セミナーの人気コーナー「父親のための不登校理解講座」PART5です。前回、参加者のみなさまからお寄せいただいたご質問を中心に、父親にできる対応、父親を協力者にするコツ、夫婦の歩調の乱れなどにお答えします。回答者は、斎藤真沙美さん(世田谷区教育相談室心理教育相談員)、池亀良一さん(代々木カウンセリングセンター所長)、荒井裕司(登進研代表)、小澤美代子さんに加え、不登校を経験した2人の若者をゲストに迎え、当時の親御さんとのかかわりなどについてお話ししていただきます。第2部の最後には、参加者のみなさまがセミナーの感想や互いの思いを語り合う「Share(シェア)」の時間も設けます。
【第3部】個別相談では、不登校に関する心と進路の問題についてカウンセラーと専門相談員が一対一でお応えします。個別相談は事前のお申込みが必要で、先着30名様に限らせていただきますのでご了承ください。今回人数制限にもれた方のご相談については、後日、当研究会の連携機関、代々木カウンセリングセンター(TEL.03-3370-6775)で対応できますのでお気軽にお問い合わせください。みなさまのご参加を心よりお待ちしています。
◆プログラム
【第1部】講演「不登校-長期化したときの登校刺激のあり方」
講師 | 小澤美代子(千葉大学教育学部教授) |
第2部】父親のための不登校理解講座その5
講師 | 不登校を経験した2人の若者 小澤 美代子(千葉大学教育学部教授) 池亀 良一(代々木カウンセリングセンター所長) 荒井 裕司(登進研代表) |
司会 | 齊藤 真沙美(世田谷区教育相談室心理教育相談員) |
【第3部】個別相談
2009年9月12日(土)■登進研バックアップセミナー68
不登校-安心を“処方”する親のかかわり
安心できる体験を積み重ねることで、子どもはどう変わっていくのか
毎日うだるような暑さが続いていますが、みなさまいかがお過ごしでしょうか。
先日、冷房の効きが悪い電車にうんざりしながら乗っていたときのこと。ある駅で、母親と一緒に乗ってきた男の子が大声でこう言いました。
「お母さん、この電車、暖房がきいてるよ!」
その瞬間、車内は爆笑。暑さでイライラしていた乗客の表情もすっかりなごみました。
笑いは、人の心を温かくするだけでなく、涼しさをもたらす効果もあるようです。
ためしに今夜あたり、家族にダジャレでも言ってみませんか? その場の空気が寒~くなることうけあいです(笑)。
* * *
人は、緊張したり、不安だったり、おびえているときには、笑顔になれません。心がこわばっていると、表情もこわばってしまうのでしょう。
以前、こんな話をしてくれたお母さんがいました。
「娘が不登校になり、なんとか学校に行かせようとやっきになっていたある日、あんなに明るかった娘の顔から、表情がまったく消えてしまったことに気づきました。ああ、この子は本当に疲れきっているんだ。これ以上、この子を追いつめるのはやめようと思いました」
それまでこの娘さんは、精神科に通って薬をのんだり、3回も転校をくりかえしていましたが、どうしても登校できませんでした。ところが、お母さんがこんなふうに思いはじめてからしばらくすると、自分でフリースクールを探して、毎日休まず通うようになったといいます。
不登校になった子どもたちが再び自分の足で歩きはじめるには、「安心して過ごせる時間」が必要だといわれています。では、安心できる時間があると、なぜ子どもたちは動き出すのでしょうか。そして、「安心」をあたえるために親はどんなかかわり方をすればよいのでしょうか。
* * *
そこで今回のセミナーは、「不登校─安心を“処方”する親のかかわり~安心できる体験を積み重ねることで、子どもはどう変わっていくのか」というテーマで行います。
第1部は、30余年の豊富な相談経験にもとづいたお話が「わかりやすい」「気持ちがラクになる」と毎回大好評の海野千細さん(八王子市教育委員会学校教育部主幹)の講演です。
今回の講演では、子どもとのかかわりをふりかえるためのワークシートをみなさまに配付し、それを使いながら、親子のよりよいあり方を一緒に考えていきたいと思います。
すべての親に共通する「正しいやり方」というものはない、というのが海野さんの持論です。逆にいえば、100組の親子がいれば、100通りの「正しいやり方」があるともいえるでしょう。参加者のみなさまが、それぞれのご家庭に合ったよりよいかかわり方、子どもが安心できるかかわり方を見つけるためのヒントがたくさん得られるはずです。ご期待ください。
第2部は「不登校理解の“常識”を見直す」です。当セミナーでは、これまでも「“登校刺激はいけない”は本当か?」など、みんなが当たり前と思っていることは本当に正しいのか、という視点から、さまざまな“常識”の再検討を行ってきました。
今回も「見守るだけで“治る”のか?」「受容と甘やかしは違うの?」「不登校は病気なのか?」「発達障害の子どもに“特別な支援”は必要か?」「不登校の進路は本当に多様なのか?」など、不登校理解の基本中の基本ともいえる問題について、あらためて考えてみたいと思います。
講師は、海野千細さん、高野利雄さん(日本ピア・サポート学会副会長、学校心理士)、荒井裕司(登進研代表)、司会は、齊藤真沙美さん(世田谷区教育相談室心理教育相談員)です。第2部の最後には参加者のみなさまがセミナーの感想や互いの思いを語り合う「Share(シェア)」の時間も設けます。
第3部の個別相談では、不登校の心と進路の問題について、カウンセラーと専門相談員が一対一でお応えします。なお、個別相談は、事前に申し込みをいただいた方のうち先着30名様に限らせていただきますので、あらかじめご了承ください。みなさまのご参加を心よりお待ちしています。
◆プログラム
【第1部】講演「不登校-安心を“処方”する親のかかわり」
講師 | 海野 千細(八王子市教育委員会学校教育部主幹) |
【第2部】不登校理解の“常識”を見直す
講師 | 海野 千細(八王子市教育委員会学校教育部主幹) 高野 利雄(日本ピア・サポート学会副会長、学校心理士) 荒井 裕司(登進研代表) |
司会 | 齊藤 真沙美(世田谷区教育相談室心理教育相談員) |
【第3部】個別相談
2009年6月21日(日)■登進研バックアップセミナー67
不登校-八方ふさがりの状況を変える家族の解決力
打つ手がないという思いから一歩を踏み出す家族ぐるみの解決手法
木々の緑や空の青さが目にまぶしい季節となりました。天気のよい日はTシャツ一枚でも汗ばむほど。さわやかな風に誘われて、思わず外にとびだしたくなる季節です。
でも、不登校の子どもたちのなかには、連休中も家から一歩も出られなかったり、夜にならないと外出できない子もたくさんいます。いつになったら学校に行けるようになるのか、以前のように明るい笑顔を見せてくれるのかと、不安にかられるお母さんお父さんも多いことでしょう。
親としてやれることは全部やったけれど、子どもは学校に行けない。押してもダメ、引いてもダメ。どうしたらいいのか……そんなとき、ちょっと視点を変えると解決策が見つかることがあります。
かつてこのセミナーで不登校の経験を話してくれた若者が、こんな話をしてくれました。
・親から毎日「学校に行け」と言われていた頃は動けなかったけど、ほうっておいてくれるようになったら外に出たくなり、自分でフリースクールを探して通いはじめた。(中2から2年間不登校だった女の子)
・母が家にいた頃は、ずっと昼夜逆転の生活でした。昼間起きていれば、いやでも母の心配そうな顔が目に入る。それがつらかった。だから母がパートに行くようになると、すぐ昼夜逆転はなおったし、親との関係もよくなりました。 (中1から3年間不登校だった男の子)
わが子が学校に行けなくなると、多くの親御さんは「卒業できなかったらどうしよう」「行ける学校はあるのか」「この子の将来はどうなるのか」とマイナスのことばかり頭に浮かんできて不安になり、ますますガミガミ言ったり、逆にはれものにさわるようになるといった悪循環におちいりがちです。でも、一歩引いてみると、意外なところに解決の糸口が見つかることも多いもの。そのためには、親自身が肩の力をちょっと抜いてみることも必要かもしれません。
* * *
そこで今回のセミナーは、「不登校─八方ふさがりの状況を変える家族の解決力~打つ手がないという思いから一歩を踏み出す家族ぐるみの解決手法」というテーマで行います。
第1部は、不登校やひきこもりの問題に対して、本人だけでなく、家族をも含めた独自の援助プログラムを作り、実践されている若島孔文さん(東北大学大学院准教授)の講演です。若島さんは、問題行動(たとえば、家庭内暴力、ひきこもり、昼夜逆転など)を“治す”ことよりも、そうした行動を生み出しているしくみに着目し、そのしくみに働きかけることで問題を解決していこうとする「短期療法」(解決志向アプローチ)の専門家として活躍されています。
「短期療法」の特徴は、たとえば気が弱くて言いたいことも言えないために人づきあいがうまくいかない子がいた場合、その子を「気の強い性格」に直そうとするのではなく、気の弱い子が気の弱いままで、でも、必要なことは主張できるような場の雰囲気やしくみを作っていこうとする点です。原因探し(例:弱い性格だからダメなんだ)や犯人探し(例:親の育て方が悪かったのか)をするよりも、問題解決を第一に考えようとする心理療法です。
今回は、短期療法の手法のなかから誰でも手軽にできる方法を紹介し、家庭内のしくみを変えることで子どもがどう変わっていくのかについて、具体的な事例を交えながらお話ししていただきます。ちなみに、短期療法の大切なポイントのひとつは「ユーモア」です。若島さんも、知る人ぞ知る“おやじギャグ”の名手です。肩の力を抜いて、ご参加ください。
第2部は「学校をかえようか迷ったときの判断ポイント」です。6月は、学校をかえようか迷っている子どもたちにとって大事な時期です。たとえば高校生で4月から休んでいる場合、進級できるかできないかのボーダーライン(欠席日数3分の1以上)は6月末あたり。この時期を過ぎると一般の高校への転入は難しくなります。第2部では、こうした親として知っておきたい転入・編入の基礎知識やメンタル面での注意点などをわかりやすく解説。会場のみなさまからのご質問にもお答えします。講師は、小林洋子さん(元練馬区光が丘教育相談室長)、池亀良一さん(代々木カウンセリングセンター所長)、荒井裕司(登進研代表)、司会は霜村麦さん(臨床心理士)です。第2部の最後には、参加者のみなさまが互いに語り合う「Share(シェア)」の時間も設けます。
第3部の個別相談では、不登校の心と進路の問題について、カウンセラーと専門相談員が一対一でお応えします。なお、個別相談は、事前に申し込みをいただいた方のうち先着30名様に限らせていただきますので、あらかじめご了承ください。みなさまのご参加を心よりお待ちしています。
◆プログラム
【第1部】講演「不登校-八方ふさがりの状況を変える家族の解決力」
講師 | 若島 孔文(東北大学大学院准教授) |
【第2部】学校をかえようか迷ったときの判断ポイント
講師 | 小林 洋子(元練馬区光が丘教育相談室長) 池亀 良一(代々木カウンセリングセンター所長) 荒井 裕司(登進研代表) |
司会 | 霜村 麦(臨床心理士) |
【第3部】個別相談