第26回 第34回 第39回 第40回
第44回 第53回 第54回
第55回(第1部)
第55回(第2部)
第57回 第58回 第59回 第61回
第62回 第63回(第1部) 第63回(第2部)
2023年度 2022年度 2021年度 2020年度 2019年度 2018年度 2017年度 2016年度 2015年度 2014年度 2013年度 2012年度 2011年度 2010年度 2009年度 2008年度 2007年度 2006年度 2005年度 2004年度 2003年度 2002年度 2001年度 2000年度 1999年度 1998年度 1997年度 1996年度 1995年度 2019年度 2018年度 2017年度 2016年度 2015年度 2014年度 2013年度 2012年度 2011年度 2010年度 2009年度 2008年度 2007年度 2006年度 2005年度 2004年度 2003年度 2002年度 2001年度 2000年度 1999年度 1998年度 1997年度 1996年度 1995年度
登進研のチエブクロウ(4)カウンセリングを受ける前に
「登進研のチエブクロウ(知恵袋)」は、不登校について多くの親御さんが疑問に思っていること、悩んでいることを取り上げ、疑問解消や問題解決のヒントとなる情報をご紹介するページです。
これらの情報は、これまで登進研が行ってきたセミナーの講演、体験談などから採録したものです。お子さんへの理解を深め、よりよいかかわり方を考えるうえで、お役立ていただければ幸いです。
◇ 子どもの言葉
「わかってくれる人なんていない。だから、誰かに話そうという気持ちになれなかった」
中学2年の2学期から高校1年の3学期まで学校に行けなかった女の子。自分の気持ちを、誰かに聞いてほしいとは思わなかったという。
「私の思い込みかもしれませんけど、話してわかってくれる人なんていないんじゃないかなと思ってしまって、誰かに話そうという気持ちにはなれませんでした」
中学校には相談室があり、スクールカウンセラーもいたが、そこに行くのもすごく怖かった。ずっと誰にも相談しないで、自分で考えて考えて結論を出すという感じだったと、当時をふりかえる。
「父や母にも話を聞いてほしいとは思わなかったですし、本当に、誰にも言わない!って感じでした」
「自分のことをわかってくれるのは、母だけだと思っていた」
小学校の頃からいじめにあい、中学2年のとき学校に行けなくなった男の子。母親と非常に仲がよく、今でも大学から帰ってくると、講義や教授、友人のことなど、何でも話をする。それは、中学のときに不登校をしたことで築かれた関係だという。
「母とそういう関係ができており、当時は自分のことをわかってくれるのは母だけだと思っていたので、外部の人にわかってもらおうなんてまったく考えなかったし、カウンセリングなども受けませんでした」
「最初は抵抗があったけど、先生がお姉さんのような感じで、相性がぴったりだった」
友だちとのトラブルがきっかけで、中学2年の11月から中学卒業まで学校に行けなかった女の子。誰ともしゃべれない状態だった彼女を心配した父親のすすめで、カウンセリングを受けるようになった。そのことで、父親には感謝しているという。
◇ お母さんの言葉
「家族がたくさん話を聞いてあげれば、それでいいんじゃないかとも思います」
うちの娘は教育相談室でカウンセリングを受けていましたが、そこに行きつくまでには、かなりの時間がかかりました。
中1の担任だった女性の先生と相性がよくて、その先生の紹介だったから、娘も行ってみようかなという気持ちになったんだと思います。教育相談室に通うと、それが学校の出席日数にカウントされるという点も、娘には魅力だったようです。
でも、いざ教育相談室に行ってみると、カウンセラーの先生とはぜんぜんしゃべれなくて、娘も「あの先生は嫌だ」と言うので、担任の先生に相談すると、「相性の合う先生と出会うまで、どんどん先生を変えてもかまわないから」と言われました。
それもひとつの方法かとは思いますが、気の合う先生と出会うまでの時間やプロセスを考えると、家庭内で話ができる状態なら、お母さん、お父さん、きょうだいなどが、たくさん話を聞いてあげれば、それでいいんじゃないかとも思います。実際、わが家でも私と姉がよく話を聞いてあげていました。
◇ カウンセリングや医療機関(精神科、心療内科)を上手に受診するために
霜村 麦(臨床心理士)
精神科や心療内科は医療の領域になりますが、カウンセリングは医療の分野以外でも行うことができます。ただし、カウンセリングは健康保険を使えないことが多いので、かなりの費用がかかります(公的な教育相談室などでカウンセリングを受ける場合は無料)。
私は医療現場のカウンセラーとして、たくさん子どもたちと向き合っていますが、治療としてのカウンセリングを考えた場合、カウンセリングに合う子と合わない子がいるなぁと感じることがあります。
合う合わないをどこで判断するかというと、ひとつは、その子が自分を客観的に見つめ、問題を言語化して解決していこうというモチベーションをもっているかどうか。それが、治療につながるカウンセリングを受けるか否かのポイントになると思います。
もうひとつ、カウンセリングの場面で「いい子」を演じてしまうことが、とくに女の子に多いのですが、そういうお子さんはあまりカウンセリングに合わないような気がします。なぜなら、いい子でいることがその子にとってストレスになっているのに、カウンセリングを受けさせると、またカウンセラーの前でいい子を演じなければならないという悪循環を強めてしまうからです。こうしたケースでは、あまりカウンセリングをおすすめしないようにしています。
こうしたお子さんの性格なども考慮したうえで、やはり医療機関を受診しようと思ったとき、どういうお医者さんを選ぶべきか。
まず、診察にあたって発達や成長の視点をしっかりもっているかどうか。つまり、今はこういう状態だけれど、やがて変わっていくだろうという予測を立てながら、その可能性も含めて治療を行うことが重要なのです。
さらに、家族や学校関係者を巻き込んで、その人たちとの関係性を利用した治療ができるかどうか。たとえば、まわりの人を動かすことが上手だったり、まわりの人の力をうまく活用できるお医者さんを選ぶといいかなと思います。
そして、経験が豊富かどうか。とくに入院治療の経験があるかどうか。まずはネットなどで経験のありそうな先生を調べてから、受診することが大切です。受診してみて、もしお子さんに合わないようなら、また別の先生を探すべきでしょう。先生にもいろいろなタイプの方がおられるので、お子さんに合った先生と出会うことが、いちばんの早道だと思います。