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登進研のチエブクロウ(7)お父さんの役割

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「登進研のチエブクロウ(知恵袋)」は、不登校について多くの親御さんが疑問に思っていること、悩んでいることを取り上げ、疑問解消や問題解決のヒントとなる情報をご紹介するページです。

 これらの情報は、これまで登進研が行ってきたセミナーの講演、体験談などから採録したものです。お子さんへの理解を深め、よりよいかかわり方を考えるうえで、お役立ていただければ幸いです。

 

◇子どもとぶつかることも必要

大木みわ(植草学園大学名誉教授)

 

  子どもが不登校になったとき、たいていのお父さんは、学校に行けないわが子をダメな人間として責めるというパターンになりがちです。どこのお父さんも一家を支えようと必死に働いているわけですから、学校に行かない子どもに対して腹が立つ気持ちはよくわかります。
 子どもが不登校になるのは、その子自身や、その子を支えている家族のエネルギーでは突破できない壁が立ちはだかったときです。壁が低かったり薄かったりすれば、お父さんとお母さんが心を合わせて行動することで簡単に解決できてしまう場合もありますが、問題が複雑になってくると、そう簡単には壁をクリアできません。
 そんなとき、お父さんとしては、たとえば、「一緒に学校に行ってみよう」と誘ってみるとか、あるいは、子どもに言いたいことをぶちまけてみるといったことが必要です。
 ただ腕組みをして考えていてもダメ。お母さんまかせもダメ。
 そうして、お父さん自身があれこれ手をつくしてみて、それでも、「やっぱり子どもは動けないんだ」ということが身にしみてわからないと、「じゃあ、もっと違ったやり方をしないといけない」ということがわからない。これまでの父親としてのやり方をあきらめて方向転換するためには、どうしても子どもとぶつかることが必要なんですね。
 だから、子どもが不登校になったら、まず驚いて、あわてふためくという段階が必ずあるし、それはお父さん自身が変わっていくためにも必要な段階なんだと思います。

 

◇まずは子どもと普通に話ができる関係づくりを

海野千細(八王子市教育委員会学校教育部教育指導課心理相談員)

 

 日頃、ほとんどかかわりのないお父さんが突如、父親の顔をして向かっていくと、「今さら父親づらしやがって」と反感を買うことになりがちです。まずは、子どもと「普通に話ができる関係」を目標にしてみましょう。
 一緒に食事をしたり、テレビを見たり、世間話をするなかで、お父さんが「お前のことを怒っているわけではない」「とがめようと思っているわけではない」ということが伝わらないと、子どもとコミュニケーションをとるのは難しいと思います。学校や進路の話題を出すのは、あくまでそのあと。普通にコミュニケーションがとれるようになってからの話です。
 あとは、子どもに関心をもつこと。「学校に行くか行かないか」ではなく、子どもが何に興味をもっているかにも関心をもってほしい。ゲームをやっていたら、「これはどうやるんだ?」と聞いたり、一緒にやってみて、子どもがゲームのどこに面白さを感じているかをわかろうとすることが大切です。それによって子どもとの距離が縮まってくることも少なくありません。

 

◇【お母さんから多い質問】夫に上手に協力を頼むコツを教えて!

小澤美代子(さくら教育研究所所長)

   

①子どもの不登校に対して、父親は怒りの感情をもちやすい

  人間は、物事が順調に進まなくなってイライラしたときは、たいてい怒ります。本当なら親のほうが冷静になって子どもを守ってあげなければいけないのに、不登校になった子どもを「何やってるんだ!」「どうしてなんだ!」と怒ってしまう。あるいは嘆き悲しむ、涙が出てしかたがないという場合もあります。
 一般的に、お父さんのほうは怒りの感情をもちやすく、お母さんのほうは悲しくなってしまうことが多いようです。つまり、お子さんが不登校になって、思うようにならない状況が続くと、お父さんの心のなかには「怒りがたまりやすい」ということを、お母さんとしては理解しておく必要があるかと思います。


②相談の持ちかけ方にもコツがいる

お父さんに相談にのってくれるよう頼むには、それなりのコツがいります。よくあるのが、お父さんが仕事から帰ってきて、お母さんが相談しようとしても取り合ってくれないというケースです。
 お母さんとしては、お父さんが帰ってくるのを待ちかまえていて、今日一日つらかった思いを聞いてほしい。一方、お父さんのほうは、一日中仕事のことで大変だったから、家に帰ったら晩酌でもやりながらのんびりしたい。そんなとき、子どもの深刻な話を持ち かけられてもタイミングが悪すぎます。
 そんなときは、「仕事で疲れてると思うけど、ちょっと話を聞いてもらえるかしら?」というように前置きをして、心の準備をしてもらい、お父さんを「話を聞くモード」に持ち込まないとダメ。そういう“前置き”が大事なように思います。
 相談しようとするとイヤな顔をされるという場合には、このような工夫をしてみると、かなり改善されるのではないでしょうか。


③まず、母さんの話をきちんと聴くことから

  一方、お父さんのほうも、「疲れて帰ってきて難しい話はうんざり」という気持ちはわかりますが、お母さんがたびたび相談をもちかけるようなら、かなりせっぱ詰まった状態だと考えてください。そして、できるだけお母さんのモードに合わせてあげて、少しでも話を聴いてあげる姿勢をみせることが必要です。
 男の人は「話を聞いたら何か結論を出さないといけない」と考えがちですが、お母さんが言ってほしいのは、「へぇー、そうだったの。大変だったね」といういたわりの言葉、お母さんのつらさに対する共感の言葉です。
 だから、お母さんは、お父さんに自分の気持ちを受けとめてもらえれば、言いたいことの半分は解決したも同じ。お父さんは、何も特別な解決策をひねり出さなくてもいい。ただ、お母さんのグチをしっかり聴いてあげるだけでも、夫婦の話し合いにつながっていくと思います。

 

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