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登進研のチエブクロウ(8)気になる勉強の遅れ

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 「登進研のチエブクロウ(知恵袋)」は、不登校について多くの親御さんが疑問に思っていること、悩んでいることを取り上げ、疑問解消や問題解決のヒントとなる情報をご紹介するページです。
 これらの情報は、これまで登進研が行ってきたセミナーの講演、体験談などから採録したものです。お子さんへの理解を深め、よりよいかかわり方を考えるうえで、お役立ていただければ幸いです。

 

◇少し元気になってきたときに子どもがやりはじめることは、
 だいたい親が期待することとは、いちばんかけ離れたところから始まる

海野千細(八王子市教育委員会学校教育部教育指導課心理相談員)

 

 親からすれば、元気が出てきたら勉強でもやればいいじゃないか、学校に行けばいいじゃないか、と思うわけですが、そういうとき、すぐに「勉強」や「学校」に結びつくような行動がみられることはそう多くありません。
 そもそも子どもの変化は、親や先生や世間が〝善し〟とすることとはいちばん遠いところから始まると考えたほうがいい。だいたい最初にやりはじめるのは、ゲーム、ネット、アニメ、マンガ……。学校や勉強に関する変化は最終段階で起こるのです。
 そのとき、子どもがやりはじめたことを親もいっしょに楽しむことができると、子どもの気持ちもだいぶラクになります。ただ、子どもの興味のあることに、親も興味をもてるとはかぎりません。そんなときは無理してつきあおうと頑張らなくても、子どもの興味・関心のあることについて話を聞いてあげるだけでもかまいません。
 そうして子どもがさらに元気になれば、自分としてはあまり興味がないことでも、必要ならやるというふうに変わってくるはずです。

 

◇小学校4年生程度の学力があれば、かなりのブランクがあっても大丈夫

小澤美代子(さくら教育研究所所長)

 

 よく親御さんから、「勉強をしないで大丈夫ですか」と聞かれます。この答えは、大きく分けて2つあるように思います。
 ひとつは、小学校1~3年くらいの早い時期から不登校になって長期化した場合で、こういうケースでは、いわゆる読み書きソロバン、つまり基礎的な国語力や算数の加減乗除の部分が抜け落ちてしまいます。最低でもその部分については、20歳くらいまでにどこかでフォローしてあげる必要があると思います。その部分が欠落したまま社会に出ると、さまざまなかたちで不自由さを味わうことになるからです。
 一方、小学校4年生以降に不登校になった場合は、「学習面は大丈夫ですよ」と申し上げています。中学校を卒業するまで学校に行けなくて、高校に入学し、それから頑張って今までの遅れを取り戻したお子さんもたくさんいますので、小学校4年生くらいの基礎学力があれば、かなりのブランクがあっても、ごく短い期間で穴埋めできると思います。

 

◇電池切れの状態にある子に「少しは勉強したら?」は逆効果

池亀良一(元•代々木カウンセリングセンター所長)

   

 不登校というのは、その子のエネルギーが切れてしまって動けなくなった状態と考えられます。携帯電話には電池の残量を示すマークがありますが、あの電池マークがゼロになってしまった状態、あるいは残り少なくなった状態と考えるとわかりやすいかもしれません。
 電池切れ状態の子どもができることは、せいぜいゲームやネット、マンガやテレビを見ることくらいで、それ以上のこと、たとえば勉強をするとか、学校に関係のあることをするには、まだまだエネルギーが足りません。
 このような状態の子に「ゲームをやる元気があるなら少しは勉強したら?」とか「マンガじゃない本も読んだら?」などと言っても効果がないどころか、反発されるばかりです。しばらくは勉強や学校のことは置いておき、今は充電が必要な時期なんだと考えてあげてほしいと思います。

 

◇子どもの言葉

 

好きなことが見つかれば、勉強の遅れなんていくらでも取り戻せる

 僕は中2の2学期から高1の3学期まで不登校でしたが、その間、ほとんど勉強はしていません。とくに苦手な英語と数学にはまったく手をつけず、好きな社会科だけやっていたという感じで、高校はサポート校に入学しました。
 高校でもあいかわらず数学と英語はダメダメでしたが、それでも大学に進学できたし、好きな日本史を勉強できたし、来年、大学卒業と同時に高校の地理・歴史科の教員免許を取得できる見込み……まあ、おそらく大丈夫だと思うんですが(笑)、なので、夢だった学校の先生にもなれそうです。
 こういう話をすると、必ず「君は優秀だから」とか「うちの子は無理」とか言われるんですが、僕がどれだけ勉強ができないか知らないでしょう(笑)。実は、大学在学中に合格点をもらわないと教育実習に行けないという試験があって、その試験範囲が、中学から高校までの数学、英語、国語、理科、社会なんです。5教科全部だから、あせりまくりましたが、友だちをつかまえて「中学校の教科書持ってない?」と聞いてまわったり、本屋さんで中学の学習参考書を見たりして必死にやりました。
 ちゃんと勉強やらなきゃという気持ちになったのは、その試験が直接のきっかけですが、そもそもは「学校の先生になりたい」と思ったことが大きなモチベーションになっています。だから、自分の好きなこと、やりたいことが見つけられたら、どんなに勉強ができなくても、それに向けて努力できる、頑張れると思うので、勉強の遅れなんていくらでも取り戻せると僕は思います。
(その後、彼は無事教員免許を取得。現在は、高校で日本史の教鞭をとっている)

 

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