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登進研バックアップセミナー80・講演内容
不登校ー心の中で何が起こっているのか?
2012年1月29日に開催された登進研バックアップセミナー80の第1部「不登校―心の中で何が起こっているのか?」の内容をまとめました。
講師 | 小澤美代子(さくら教育研究所所長) 海野 千細(八王子市教育委員会学校教育部学事課長) |
司会 | 霜村 麦 (臨床心理士) |
1.なぜ安心できる居場所が必要なのか
霜村 | 今日は「不登校ー心の中で何が起こっているのか?」をテーマに、多くの親御さんが感じている4つの疑問(①なぜ、安心できる居場所が必要なのか、②親が距離をとると、なぜ子どもは動き出すのか、③なぜ、原因を言わないのか、④いつまで続くのかという不安とどうつきあうか)を取り上げ、小澤先生、海野先生のおふたりにお話を伺います。この4つの疑問は、子どもとかかわるうえでも、子どもを理解するうえでも重要なポイントとなるものです。 |
小澤 | まず、「安心」や「安全」というものは、不登校の子どもに限らず、私たち人間が元気に生活していくために非常に大切なものだということを申し上げておきたいと思います。とくに不登校のお子さんは、日常生活がうまくいかない一種の不適応を起こしているわけですから、この不適応状態から抜け出し、日常的な生活に戻るためには、かなりのエネルギーが必要になります。 |
霜村 | 海野先生、そうやって安心できる居場所ができると、子どもにどんな変化が起きるのでしょうか。 |
海野 | お子さんによって、大きく分けて2つの変化があらわれます。 |
霜村 | 生活がますます乱れてくるとしたら、親御さんは心配ですよね。 |
海野 | こういう時期はけっこう長く続くし、親御さんがよく言う「学校のこと以外は、ほんとに元気なんです」みたいな感じになりますから、よけいに腹が立ちます。毎日毎日グータラしていて、「こんなことで本当に立ち直るのか」と思うような状態が続くわけですから。 |
「受容」と「甘やかし」の違いは?
霜村 |
子どもを安心させること、自由にさせることは、「甘やかし」にならないのかと気になさっている親御さんも多いと思いますが。 |
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海野 |
親御さんがお子さんを受け入れて、好きにさせてあげようという対応になってくると、子どもが「○○買って」「○○に行きたい」など、いろいろな要求を出してくることがよくあります。 |
霜村 |
それでも、その子の要求に応えてあげるのが「受け入れる」ということなのでしょうか。 |
海野 |
こういうとき、「受け入れる」ということには、「要求を受け入れる」という部分と、「気持ちを受け入れる」という部分の2つがあります。子どもが「○○が欲しい」と言ったとき、「そうか、あなたは○○が欲しいのね」とその気持ちを受けとめてあげるか、モノそのものを与えるか。 これは、どちらがいいとかいう話ではなく、子どもの年齢が低ければ低いほど、モノを与えてあげることが必要になってくる場合があります。 |
霜村 |
そうすると、子どもの要求がどんどんエスカレートしませんか? |
海野 |
確かに、だんだん要求がひどくなってくることがあります。 |
安心できる居場所を提供するだけでいいのか
霜村 |
子どものエネルギーがある程度たまってくると、親としては、そろそろ次のステップに向けて、なんらかの登校刺激が必要ではないかと感じる場合も多いと思います。いつまでも、ただ安心できる居場所を提供しているだけでいいのでしょうか。 |
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小澤 |
親御さんは、つねに先へ先へと考えすぎて不安になっているような気がします。こうしたらこうなる、ああしたらああなる、好きなようにさせたらわがままになるんじゃないかというように、踏み切る前に先々のことを考えて混乱してしまい、結局、何もしないということがよくあるのではないでしょうか。 |
霜村 |
やるべきことに順番をつけるわけですね。 |
小澤 |
とくに危機的状況でどうしたらいいかわからないときは、まず、緊急性の高いもの、必要性の高いものから3〜5番目くらいまで順番をつけてみることをおすすめします。 |
霜村 |
まず、やってみることが大事、と。 |
小澤 |
その結果、変化が出てくるのは3〜6カ月くらいのスパンだと思いますので、とりあえず3カ月は言いたいことも半分にして、子どもの安心・安全を第一に考える。やってみて、その結果、わがままがとんでもなくエスカレートしたり、昼も夜もないような生活になるなど、マイナス面ばかりが出てくるようなら、そこで仕切り直しをすればいいわけです。 |
霜村 |
仕切り直しとは? |
小澤 |
たとえば、「今まであなたが元気になればと思って、言いたいこともあまり言わないようにしてきたけど、この3カ月、あなたを見ていると、ちょっとまずいんじゃないの。このままだと将来自立してやっていくのは難しくなっちゃうから、それを考えると、今までのように好きなように過ごせばいいよとは言えないんだよね」といったことを伝える。小学校高学年以降であれば、ちょっと言葉を選べば意図は伝わると思います。 |
霜村 |
うまくいかなかったら、やり直せばいい? |
小澤 |
そうです。まず順番をつけて、いちばん必要と思われることをやってみる。それでいい方向に向かっているようなら、今のかかわりでいいわけですから、それを次の段階に進むまで続けていく。 |
2.親が距離をとると、なぜ子どもは動き出すのか
霜村 |
2つ目の疑問は「親が距離をとると、なぜ子どもは動き出すのか」です。以前、このセミナーで、2年間、部屋にひきこもっていた青年が当時を振り返って話をしてくれたことがあります。今は公務員としてしっかり自立し、大勢の参加者を前に落ち着いてユーモアたっぷりに話をされていて、こんなに変わるんだなあと感動しました。 その青年は、「親と顔を合わせれば、学校の話になるのがわかっているので、部屋に閉じこもっていた」と言っていました。食事もドアの前に置いてもらって、食べ終わったら外に出すというように、完全なひきこもり生活を続けていたそうです。 |
---|---|
海野 |
子どもたちは、親御さんとの関係の中で安心を取り戻して気持ちが楽になると、いろいろと動きたくなるわけですが、そのときに親の感覚と子どもの感覚にズレがあることが多いんですね。親のほうは「もう少しそばにいたほうがいいんじゃないか」と思っても、子どもは、それが「面倒くさい」「監視されている」「つねに期待されている」という感じがして重荷になり、逆に動けなくなってしまう場合があります。 |
霜村 |
小澤先生、子どもと距離をとることにはどんなメリットがあるのでしょうか? |
小澤 |
大半の親御さんは、子どもとの距離が近すぎるというか、心配で心配で気になって仕方がないという傾向があるのかなと思います。それを前提としてお話ししますが、まず、子どもには基本的に「自分のことを見てほしい」「見捨ててほしくない」という気持ちがあります。しかし、見ていてほしいと思う一方で、それがあまり近すぎて濃厚であると、「うざい」「息苦しい」「窮屈」という気持ちになります。親の愛情、子どもへの関心は絶対に必要なものですが、それが子どもの状態にどんな影響を及ぼすのかは、ときどき振り返ってみなくてはいけないと思います。 |
霜村 |
安心・安全が守られれば、やがて子どもは動き出す? |
小澤 |
お母さんがパートに出れば子どもが動き出すというような単純な話ではないんですが、先ほど海野先生もおっしゃっていたように、親御さん自身が行き詰まって、ちょっと距離をとったほうがいいのか、逆に仕事を辞めたほうがいいのかと悩んだときは、その気持ちや迷いを子どもに伝えてあげることが大事です。 |
海野 |
お母さん自身がどういう状態で、どんなことを考え、どうしたいと思っているのかを、お子さんにオープンにすることは非常に大事です。 |
距離をとることで、見えなかったものが見えてくる
霜村 |
小澤先生、子どもと距離をとることで、親御さん自身にはどんな変化が起こるのでしょうか? |
---|---|
小澤 |
子どもと距離をとれていないということは、巻き込まれているということです。子どもの不登校という渦の中に、親も一緒に巻き込まれて、にっちもさっちもいかなくなっているという状態です。 |
霜村 |
子どもに事前に伝えることが大事なんですね。 |
小澤 |
たとえば、ちょっと背中を押そうかなと思ったときも、ちゃんと事前に伝える。「これから朝は○時には起こすよ」と予告するとか。 |
3.なぜ、原因を言わないのか
霜村 |
次は3つ目の疑問「なぜ、原因を言わないのか」です。 |
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小澤 |
なぜ原因をいわないのか。理由は大きく分けて2つ。ひとつは、「うまく言えない」「よくわからない」ということ。これは、小学校4年生以下の子どもによくみられる傾向です。うまく言えない背景には、まだ知的な発達が未熟なために、自分の身に何が起こったのかをうまく意識化できない、うまく言語化できないということがあります。 |
霜村 |
となると、本人に理由を聞かないほうがいいですか? |
小澤 |
そんなことはありません。「なぜ?」「何があったの?」と聞いてもいいんです。ただ、聞いたからといって、正しい答え、本当の答えが得られると思わないほうがいい。また、原因さえわかれば解決するとか、わからないと解決しないなどと思い込まないほうがいい。そうでないと、どんどん本人を追いつめてしまうことになりかねません。 |
霜村 |
親としては、それでも原因を知りたいと思うわけで、不登校になった当初は「なぜ?」「どうして?」と問いつめることが多いかと…。 |
小澤 |
小学校低学年くらいの子どもは、「何かあったんでしょ?」「わからないなんて、そんなわけないでしょ」「隠さないで言いなさい」と問いつめていくと、苦しまぎれに、なかったことまで言い出します。 |
霜村 |
理由はわかっているけど「言いたくない」という子も多い? |
小澤 |
かなり多いです。中学に入学して数週間で学校に行けなくなった女の子を担当したことがありますが、この子は、最後の最後まで決して理由を言いませんでした。クラスのあるグループからひどくプライドを傷つけられることを言われたのがきっかけであり、そのことは学校側も私たち相談機関の人間も把握していましたが、本人の口から語られることは一切ありませんでした。1年経ち、2年経ち、私とかなり親しくなっても、不登校の原因に話が及ぶと、さっと顔色が変わり、口を閉ざしてしまいます。中学3年になって進路が決まり、私とさよならするまで、結局、一度も理由を言ってくれませんでした。それを口にすれば、自分が傷つく。だから言えなかったんだと思います。 |
霜村 |
子どもなりのいろいろな思いがあるわけですね。 |
小澤 |
このように原因を聞き出すのは非常に難しいし、本当の原因かどうかも難しいし、原因を言わせようとして本人を追い込むことも望ましいことではありません。最初から原因には一切ふれず、そっとしておくというのはもっとよくないと思いますが、子どもには子どもなりの言えない状況、言いたくない状況があるということを理解してあげてほしいと思います。 |
原因が解決しても登校できるとはかぎらない
霜村 |
海野先生は、原因を言わない子どもの気持ちについてどのようにお考えですか? |
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海野 |
子どもが原因を言わない理由については、今の小澤先生の説明で、みなさんよくおわかりになったのではないかと思いますので、ちょっと別の視点から、お話しします。 |
霜村 |
「きっかけ」と「背景」のかけ合わせで不登校が起こる? |
海野 |
たとえば、先生に怒られたことが「きっかけ」で不登校になったという場合、一方で、いくら先生に怒られても毎日学校に行く子もいるわけです。となると、怒られたことが原因というよりも、それによってその子が強く傷つくような「背景」があったということだと考えられます。 |
霜村 |
いじめがあって学校に行けなくなった場合などは、ある意味、原因がはっきりしているわけですが…。 |
海野 |
きっかけがいじめだった場合、それを先生に話すと、先生がいじめにかかわった子を全員集めて、その子に謝らせたりすることがよくあります。そうすると、学校側はいじめの指導はした、その問題は解決したと思いがちなんですが、じゃあ、その子は翌日から学校に行けるかというと、そうではありません。 |
4.いつまで続くのかという不安とどうつきあうか
霜村 |
4つ目の疑問「いつまで続くのかという不安とどうつきあうか」に移ります。不登校が長引いてくると、多くの親御さんは「この状態はいつまで続くのか」「このままずっと登校できなかったらどうしよう」といった不安にさいなまれます。そうした不安とのつきあい方について、まず、海野先生に伺いたいと思います。 |
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海野 |
先が見えなくて、出口がどこにあるかもわからない状態で、数カ月あるいは数年という長い時間を過ごすことは、本当に不安だと思います。そうした状況の中で、親御さんが自分を支えるために頭に置いておくといいかなと思うことが3つあります。 |
霜村 |
どうしたら子どもの変化をキャッチできるのでしょう? |
海野 |
「なんとか学校に行かせよう」とだけ思っているうちは、「学校に行く行かない」しか頭にありませんから、何か変化があっても見えません。 |
霜村 |
その節目の時期に背中を押してあげるといい? |
海野 |
というよりも、親としては、この節目までは、「今日はどうするの? 行くの! 行かないの!」とうるさく言うのをやめて、「次の節目まではゆっくりさせてあげよう」と思っていたほうがいい。そうすると逆に、子どもの小さな変化が見えてきます。 |
霜村 |
小さな変化とは、たとえば? |
海野 |
それまでは、ただボーッとテレビを見ていた子が、番組を選ぶようになったり、新聞を読むようになる。これは少し元気が出てきて、外の世界に関心が向くようになったあらわれと理解できます。 ゲームなども、親御さんからすれば悩みのタネかもしれませんが、本当に元気のないときはゲームすらできません。ゲームはルールがかなりややこしいので、ある意味、前向きにちゃんと取り組まないとできないんです。それから、ずっと親に対してバリアを張っていた子が、落ち着いてくると表情が和らいだり、お父さんと顔を合わせても平気になったりする子も多いですね。 |
霜村 |
不安と上手につきあうための3つ目の方法は? |
海野 |
3つ目は、行動の意味を考えること。たとえば、不登校の子はなぜあんなにゲームばかりしているのか。好きでやっているように見えますが、ほとんどの場合、そうではありません。「こんなの好きでやってるわけないじゃん」と言われて、私もびっくりしたことがあるんですが、「じゃあ、どうしてやるの?」と聞くと、その子は「こんなことでもやらないと、嫌なことを思い出して耐えられないから」と答えました。 |
学校に行かなくても子どもは成長する
霜村 |
小澤先生は「いつまで続くのか」という親御さんの不安について、どのようにお考えでしょうか? |
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小澤 |
子どもが1週間休んだだけでも親は心配でたまらないのに、数カ月、さらに年を越えても続けば、この先どうなるのだろうと不安にかられるのも当然です。私自身、相談にみえたお母さんから「先生、いつまででしょうか?」と聞かれたことが何度もあります。そんなとき、私はよく2つのことをお伝えしていました。 |
霜村 |
家にいる時間も、決して無駄ではないと |
小澤 |
そうです。もうひとつは、語弊があるかもしれませんが、小中の義務教育さえ修了してしまえば、あとはどういう人生を歩もうと自由ということ。その先にはいろいろな進路があり、いろいろな生き方があっていいわけで、学校に行くか行かないかで悩まされるのも中3で終わり。とくに中2、中3ともなれば出口は近いわけで、そこから先はいろいろな道が開けていると考えたほうが、親御さんも気が楽になるのではないかと思います。 |
海野 |
ひとりで考えていると、だいたい考えが悪いほうへ悪いほうへと向かっていきます。そして、自分が悲劇の主人公というか、自分だけがとりたてて不幸な目にあっているような気持ちになりやすい。 |
初期・中期・後期の特徴とかかわり方のコツ
霜村 |
いつまで続くのかという不安は、現在、お子さんがどのあたりにいるのか、つまり、不登校から再登校に至る過程の中でどのへんにいるのかということが把握できると、だいぶ軽減されるのではないかと思います。 そこで、小澤先生が開発された「状態像チェックリスト」(『〈タイプ別・段階別〉続 上手な登校刺激の与え方』小澤美代子編著、ほんの森出版)をご紹介しながら、お話を伺いたいと思います。 |
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小澤 |
短ければ数カ月、長ければ数年という不登校の年月の中で、今、わが子はこのへんにいて、次はこうなりそうだということがおぼろげにわかるだけでも、ずいぶん気持ちが楽になるし、希望がみえてくるものです。 |
霜村 |
まず、初期の特徴を教えてください。 |
小澤 |
初期は、おなかが痛い、頭が痛い、熱が出るなどの「身体症状」と、物や人に当たりちらす、感情のコントロールができないなどの「不安症状」が強いのが特徴です。初期は、一般的に休み始めて数週間からせいぜい数カ月くらいですが、この時期に強制的に学校に行かせようとしたり、本人への非難・叱責をくり返すなど、まわりがあまり突っつくと、1年半たってもまだ初期の段階にとどまっているようなケースも出てきます。この時期は、何よりも休むこと、安心して過ごせることを第一に考え、刺激や干渉をひかえることが大切です。 |
霜村 |
中期はどんな感じですか? |
小澤 |
中期は、少しずつエネルギーがたまってきて落ち着いてくる時期です。気持ちが外に向いてくる、家事の手伝いをするようになる、部屋の掃除や髪をカットするなど、チェックリストにある10項目のうち半分くらい該当するようなら、中期に入ったと考えていいと思います。中期の期間も非常に個人差があり、早ければ数カ月、長くかかる子は3年くらいここでぐるぐる回っている場合もあります。 中期になると、親からみれば将来の役には立たないような趣味や遊びに関心をもち始めることがよくあります。しかし、この時期は楽しいことをやってエネルギーをためる時期ですので、あまり口うるさくしてエネルギーを減らさないように気をつけましょう。そうして上手にエネルギーを増やしていくと、次の後期に移っていきます。 |
霜村 |
後期になると、どんな変化が起こりますか?? |
小澤 |
後期は、少し勉強をやり始めたり、進路のことを気にするなど、親としてちょっとホッとする時期です。そして、最終的には“節目”を活かして動き出すわけですが、もっともよく動くのは学校の変わり目。小学校から中学校へ、中学校から高校へ進学するときです。2番目が学年の変わり目。クラスが変わったり、担任が変わったりする時期です。3番目が学期の変わり目。これは不登校の期間が短い場合がほとんどで、5月から休んでいた子が9月から行くといったケースが多いです。 あとは、行事のあるとき。とくに好きな行事、楽しい行事のときは行きやすいと思います。それとテストのとき。とくに中高生くらいになると、「テストだけはちゃんと受けなきゃ」と思っている子が多いので、義務感から頑張って登校することがよくあります。これらの機会をどう上手に利用するかがひとつのポイントになると思います。 |
子どもの状況を客観的にみる
霜村 |
今、お子さんがどのあたりにいるのかが見えたら、それをどう活用すればいいですか? |
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小澤 |
お子さんがどのへんにいるのかが見えてくると、「中期の後ろのほうに来ているみたいだから、もうちょっとかな」とか「1年半もたっているのに初期ということは、うるさく言いすぎて、安心して休めていないのかな」とか、いろいろなことがわかってきます。 |
霜村 |
たとえば、もう2年もたっているのにチェックリストをみると「初期」だったという場合、親御さんはかなり落胆されるのではないかと思います。そういう親御さんに対して、アドバイスをいただけますか? |
小澤 |
たとえば初期に特徴的な身体症状、おなかが痛い、頭が痛い、熱が出るといった症状は、本当に痛いし熱が出るんですね。このような症状が長く続くときは、医療機関を受診して薬の力で症状を緩和することで、だいぶ楽になる場合があります。おなかや頭が痛かったら、それだけで消耗しますから、エネルギーが頑張る力のほうに回っていかない。医療的な力も借りながら、今の状態を改善してあげるのもひとつの方法です。 |
霜村 |
ありがとうございました。 |