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動き出せない心のなかに動く兆しをどう見つけるか Part.1
2015年11月14日に開催された登進研バックアップセミナー95「不登校―動き出せない心のなかに動く兆しをどう見つけるか」の内容をまとめました。
講 師 | 霜村 麦 (臨床心理士) | 講師:霜村麦(臨床心理士) |
齊藤真沙美(臨床心理士) |
霜村 | 今日はアンケートや質問紙などでお寄せいただいたご質問のなかから、不登校のお子さんによくみられる問題に関連したテーマを5つ選び出し、それらにお答えしながら、「動けない子の心のなかで、ひそかに動き出しているものに気づくにはどうしたらいいの?」というメインテーマに迫ってみたいと思います。 進め方としては、私と齊藤先生が順番にお話しするかたちをとりますが、最後のメインテーマには二人でお答えします。では、最初のテーマから始めたいと思います。 |
テーマ1 | なぜ、不登校になると口をきかなくなるの? |
霜村 | 子どもが学校に行かなくなると、親御さんは、まず「学校で何かあったんじゃないか」と考えるのではないでしょうか。友だちとケンカでもしたのか、勉強についていけなくて困っているんじゃないか、先生とトラブルがあったんじゃないかなどなど、あれこれ心配になることと思います。ところが、当のお子さんは「どうして行けないのかわからない」と答えることが多いのです。 わが子が困っていることがあるなら、それを解決してあげたいと思うのが親心というものですが、「朝、おなかが痛くなるのは何かイヤなことがあるからじゃないの?」と聞いても、本人は「べつに…」「よくわからない…」と言うだけ。でも、しきりに頭が痛い、おなかが痛いと訴えて、学校を休んでいるということがよくあります。なかには自分から「あれがイヤ、これがイヤ」と言うお子さんもいますが、ほとんど何も言わない子のほうが多いでしょう。不登校の原因を、自分でしっかりわかったうえで休んでいるお子さんは非常に少ないのです。 |
原因について話さない子には2つのパターンがある
霜村 | 子ども自身が不登校の原因や問題となっていることがわからない、あるいは、そのことについて話ができないという場合、私たちカウンセラーは大きく分けて2つのパターンがあると考えています。 ひとつは、自分でもよくわからないうちに不登校になってしまい、おなかが痛いなどの身体症状が出ても、学校を休むと「なんだか痛いのが治ってきた」といったことをくり返しているケースです。これは小学校低学年くらいの幼いお子さんで、まだ自分の気持ちや状態を言語化することが苦手な場合によくみられます。つまり、言語的な水準が大人のレベルまで達していないため、漠然とした不安を感じていても何が問題であるかをきちんと言葉で表現できないことから、その不安が身体症状として出やすいお子さんということです。 もうひとつは、逆にちょっとマセた感じの子、ほかの子より大人びた印象のある子に多いのですが、言葉の能力も発達していて話もちゃんとできるのに、「自分のことがよくわからない」という子がいます。専門的にいうと「自己概念が脆弱(ぜいじゃく)」なタイプです。こういうお子さんは、自分のことより先に「人はどう思っているのか」「人に合わせなければいけない」「人に嫌われないようにしなければいけない」と考えてしまい、幼い頃から人の顔色を見て、「この人は何を期待しているのか」が読めてしまうようなところがあります。 そうした感覚が発達すると、「自分はどうしたいのか」とか「自分の気持ちはどうなのか」を感じることが苦手になってしまいます。そのため、「本当はどう思っているの?」「どういうことがイヤだったの?」と聞いても、「よくわからない」と答えることが多いのですが、実際のところ学校では人に合わせるためにかなりのエネルギーを使ってヘトヘトになっています。つねに人に気をつかっているので対人関係は良好なんですが、とにかく疲れ果ててしまって学校に行くことがしんどくなります。このしんどさを「具合が悪い」と表現する子もいます。 このようなタイプの子は、自分の気持ちをいつも後回しにしてきたことから、私たちが当たり前のように感じている感情、たとえば「イヤ」「好き」「嫌い」といった感情がはっきり認識できなくなっている状況があります。不登校の子どもは、まじめだったり、大人びていたり、優等生だったりするケースが多いのですが、じつはこのようなお子さんのなかに、当たり前の感情表現ができない子がけっこういます。 感情をうまく表現することができないので、「どんな気持ちだったの?」「どう思っているの?」と聞いても、期待するような返事はなかなか返ってきません。そんなとき私たちは、よく「わからないよね」と言ってあげることがあります。つまり、「わからないよね」「もやもやしているよね」といった言葉で、本人の抱えているものをわかってあげること。これが作戦のひとつとしてあります。 |
アドバイスよりも、まずその子の気持ちに寄り添う
霜村 | 子どもに口をきかなくさせている外的な要因のひとつは、私たち大人側にもあります。たとえば、これまでの体験から「誰かに話しても不登校は解決しない」という学習をしてしまった子は、「どうせ話してもムダ」と話をしなくなってしまいます。 もうひとつは、本人が「学校に行けない自分」を受け入れられないために何も話さなくなることがあります。自分がイヤでイヤでしようがなくなり、「僕はダメな人間だ」と自己評価が下がり、ほうっておいてくれといった気持ちになります。イライラしたり、すぐ怒ったりするので、まわりの人たちも本人を刺激してはいけないと触らないようにすることから、口をつぐんでしまうこともあります。 そんな子どもからどう言葉を引き出すかですが、そもそも話を聞き出したいのは親のほうであり、子どものほうは言いたくないこともあるということを、まず頭に入れておいてほしいと思います。 それでもなんとか話を聞き出したとして、親がよくやってしまうのは、その子どもの話にダメ出しをしてしまうことです。子どもが「こういうことがあって、こうしたらこうなった」と言ったとき、「そんなことするからダメなのよ。こうすればよかったのに」などと返してしまう。親は、子どもによかれと思ってアドバイスをするわけですが、ダメ出しをすることで本人を否定してしまうので、結局、「イヤな思いをしたことを親に正直に話してもムダなんだ」と感じさせてしまう結果になりがちです。 そんなときに必要なのは、アドバイスよりも、まずその子の気持ちに寄り添ってあげること。子どもの話を聞いて、「ああすればよかったのに」「まったく不器用なんだから」と思っても、その気持ちを抑えて、「ああ、それは悔しかったよね」とか「イライラしたでしょう?」など、本人の否定的な感情にトーンを合わせて、それをさらに引き出してあげるような言葉かけをすることが大切です。 とくに自分のことがよくわからないタイプのお子さんは、自分の感情に同調してもらい、代弁してもらって、感情を引き出してもらうことが必要になります。たとえば、とても悔しい思いをしたのに、人に合わせてその気持ちを無理やり押し込めている場合、それが疲れてしまう要因になるわけです。だから、「悔しい」というその子の気持ちを、こちらが引き出してあげる。ただし、このやり方に即効性はなく、長い時間をかけて丁寧にやってあげることがポイントになると思います。 |
原因を解決しても再登校につながらないケースが多い
霜村 | さらにいえば、仮に子どもから不登校のきっかけと思われることを聞き出し、原因がわかったとしても、解決できないケースがたくさんあります。 私たちの大学時代の恩師である小林正幸先生(東京学芸大学教職大学院教授)がおっしゃっていたのは、不登校には「発生要因」と「継続要因」があり、不登校の原因に相当する発生要因よりも、休み続けることによって、ますます学校に行きにくくなってしまう継続要因のほうがより強く作用するということです。 火事の現場を想像していただくとわかりやすいと思いますが、原因がタバコの火の不始末だとして、じゃあ、そのタバコに水をかければ火事がおさまるのかというと、そうではありません。火はすでに燃え広がっているわけで、その部分に消火活動をしないと火事を消すことはできないのです。 不登校の場合も同じで、原因となったいじめなどを解決しても不登校の解決にはつながらないことがほとんどです。それよりも不登校によって生活リズムが崩れてしまったことや、さまざまなマイナスの思いが積み重なって自己評価を下げてしまっていることが「継続要因」となって不登校が続いていると考えたほうが理にかないます。 解決のためには、そうしたマイナスの体験をひとつひとつ整理して一緒に考えてあげることが必要になりますが、もしお子さんが不登校のきっかけについて話してくれたとき、発生要因を解決しても再登校にはなかなかつながらないことを頭に入れておくとあわてないで済むかもしれません。 |
テーマ2 | 「お兄ちゃんは休んでいるのに、なぜ私だけ学校に行かなきゃいけないの?」と聞かれたとき、どう答えたらいいの? |
齊藤 | 不登校のきょうだいに対するフォローの問題は、教育相談の現場でもよく話題に出てくるテーマです。このように大人がドキッとする質問を子どもからぶつけられることはいろんな場面であるかと思いますが、まじめで、お子さんのために一所懸命頑張っている親御さんほど、ちゃんと答えなければいけないと思いがちです。 しかし考えてみると、この質問には正解があるわけではありません。質問されたことにすべて正解で答えようとすると、ひとつの質問に答えても相手が納得しない場合、それに付随する質問がさらに出てきて、それにも正解を出さなければいけないという落とし穴にはまってしまいます。 それよりも、この子がこの質問をするにあたって、その背景にどんな気持ちがあるのかを汲み取ることのほうが大切なように思います。気持ちを汲み取るのはそう簡単なことではないので、その場で完璧にできなくてもかまいませんし、子どもの気持ちを汲み取ろうとしたことをきっかけに、背景にある思いが少しずつわかってくるような親子の会話ができるようになれば、自然とこの質問を出してきた子どもの気持ちに寄り添うような対応になっていくのではないかと思います。 こうした質問をぶつけられたとき、「お兄ちゃんが不登校という状況のなかでどんなに大変か」という事情を理解させようとする親御さんもいらっしゃいます。そのやり方が悪いわけではありませんが、妹さんにもお母さんに受けとめてほしいなんらかの気持ちがあって、この質問を投げかけたはずですから、「お兄ちゃんはいま大変な状況だから休んでいて、サボっているわけではないんだよ」と理屈ではたらきかけるような言い方をされても、気持ちの部分で納得のいかない思いが残ってしまうでしょう。できれば、その子の頭にはたらきかけるよりも、気持ちを受けとめてあげることを心がけてほしいと思います。 |
まずは、きょうだいの思いを肯定する
齊藤 | では、具体的にどういう言葉をかけてあげるかですが、まず、妹さんがこの質問のように感じていることを肯定してあげればいいと思います。 この質問をすることで、お母さんから責められてしまうと、妹さんは自分の気持ちを出せなくなってしまいます。まずは、「そうだよね。そう思っちゃうよね」と言ってあげてください。場合によっては、「お兄ちゃんはズルいと思っちゃうよね」という返し方もあるでしょう。このとき注意したいのは、「お兄ちゃんはズルいよね」ではなく、妹さんが「お兄ちゃんはズルいと思っている」ことを肯定するということです。あるいは視点を変えて、「お兄ちゃんは休んでいるけど、あなたは毎日頑張って通っているんだよね」という言葉かけもあります。妹さんの心のなかに「自分は毎日イヤなことがあっても頑張って通っているのに、なんでお兄ちゃんは……」という気持ちがあるかもしれないので、そんな返し方もあるでしょう。 そのほか、ご両親がお兄ちゃんへの対応で必死になっていたり、家庭内がお兄ちゃんが不登校になる前とは違った状況になっていることも考えられるので、「こんな大変ななかで我慢してくれているんだよね」とか「いろいろ気をつかってくれているんだよね、ありがとう」といった言葉をかけてあげるのもひとつの方法でしょう。 こうした言葉かけによって、妹さんが「自分の気持ちを受けとめてもらえた」と思えるようなメッセージが伝われば、またお兄ちゃんの不登校について疑問を抱いたり、もやもやした気持ちが出てきても、そうした疑問や気持ちを親御さんに話してくれる可能性が出てくるような気がします。 こうした言葉かけを行って、その後、普通に登校するようであれば、ときおりグチを聞いてあげて、「頑張ってるね」などの言葉かけをすることによって、おそらくこの妹さんはエネルギーを注入してやっていけるだろうなと思います。 |
お母さんを独占できる時間をつくってあげる
齊藤 | それと同時に、妹さんがお母さんやお父さんを独占できる時間、たとえばお母さんと二人だけでお出かけするとか、キッチンで一緒に料理を作ったり、二人で何か好きなものに取り組める時間をつくることも、いいアイデアだと思います。 一方、もしこの時点で妹さんもかなりエネルギーが低下していて、学校に行くのがしんどい状態にあるとしたら、とりあえず学校を休ませるなど、無理をさせない対応も選択肢として考えられます。その結果、妹さんも不登校になる可能性はありますが、まずはそれ以前の予防策として、こうした疑問を出してきたこと自体、妹さんの気持ちを引き出して受けとめてあげる、とてもいいきっかけになるでしょう。このチャンスを上手に使って、妹さんの気持ちに寄り添う対応をすることによって、学校に行きにくくなる状況を予防することにもつながります。大人にはドキッとする質問ではありますが、そのSOSをチャンスとして生かしていただければと思います。 |
きょうだいで不登校になったとき
齊藤 | きょうだいで不登校になったケースについてもふれておきたいと思います。私の経験からいうと、上のお子さんが不登校になったあと、ある程度、時間を経て、下のお子さんも不登校になるケースが多いように感じます。 きょうだいのどちらかが落ち着いてきたときに、もうひとりの子が行けなくなってしまうこともよくあります。子どもは自分で意識している・していないにかかわらず、家庭内のバランスを見ているところがあるので、お兄ちゃんが大変な状況にあるときは、妹さんもSOSを出しにくいのです。ところが、お兄ちゃんの状態が安定してくると、そろそろいいかな、みたいな感じで妹さんがSOSのサインを出してくるというわけです。 上の子が先に不登校になって、しばらくして下の子がSOSを出してきた場合などは、親御さんも経験があるので比較的早くSOSをキャッチできることが多く、早めに学校と連携をとって別室登校や保健室登校などを活用したり、相談機関とつながることで完全な不登校状態には至らず、段階を踏んで登校できるようにもっていけることが少なくありません。一方、上の子の場合は、上の子のほうが不登校の経過が長いことが多いため、進級や進学などの節目をきっかけにしてサポートを行い、学校復帰を図ることが多いように思います。 いずれにせよ、きょうだいで不登校になった場合でも、それぞれの性格や特徴、どんなことにしんどさを感じているかなどは異なります。上の子でうまくいったことが、下の子には当てはまらないということもよくあります。親御さんとしては、「下の子まで行けなくなった」というショックに加え、「どうして二人とも!?」という怒りもわいてきて苦しいと思いますが、焦らずにそれぞれのお子さんの関係機関と連携をとりながら、一歩一歩、子どもの様子を見ながら進めていってほしいと思います。 |
テーマ3 | カウンセリングに行かせたほうがいいの? |
カウンセラーとの相性は結果に大きく影響する
霜村 | 世の中にはいろいろなカウンセラーの方がいらっしゃいます。霊的なエネルギーを使って話をしたり、スピリチュアルな音を使ってカウンセリングをしたり、エビデンス(科学的な根拠)を重視して実際の行動の回数などを計測し、何回変化が起きたかをもとにカウンセリングを行う方もいます。 相談者の話をよく聴いてくれるカウンセラーもいれば、あれこれ指示やアドバイスを出す方もいます。いろいろなカウンセラーがいるなかで、みなさんが相談したときに「相性が合う/合わない」ということが必ずあります。お子さんにとって合う合わない以前に、親御さんにとって合う/合わないという問題も、結果に大きく影響します。カウンセリングは人間的な部分がかなり影響しますので、合う/合わない問題も重要な要素のひとつなのです。つまり、カウンセリングに行かせたほうがいいかどうかという前に、人間としての相性の問題が大きく影響することがあるということです。 |
カウンセリングで対応できるのかを見極める
霜村 | さらにカウンセリングを受ける前の作業として、お子さんの問題はカウンセリングで対応できるものなのかを見極める必要があります。 たとえば、不登校の背景に精神疾患があるかどうか、発達障害的な問題が隠れていないかなど、カウンセリングを受ける前のチェックが必要になります。背景に精神疾患がある場合は薬を使った治療が必要になりますし、発達障害が不登校の原因の要素になっている場合はカウンセリングだけでは不十分で、その子が学びやすい教育的な環境を整えたり、いろいろなトレーニングを行うことも必要になります。カウンセリングを受ける前に、まずはそうした見極めの判断をしてもらう機会をもつことが大切です。その結果、カウンセリングで対応できると判断された場合、あるいは治療を受けながらカウンセリングをしていきましょうと判断された場合は、継続的にカウンセリングを受けることになります。 なお、子どもへのカウンセリングは、大人へのカウンセリングと違って、その子にかかわる大人へのカウンセリングが必要になります。なぜなら、親御さんは一日のうち何時間もその子に接しているわけですから、たとえば隔週1回、カウンセラーが小一時間、その子に接することで起こる変化よりも、日常的に親御さんがかかわるほうがはるかに治療的効果が大きく、その子に変化を起こすことにつながるからです。 したがって、お子さんに関するカウンセリングでいちばん大事なのは、その子にどのように接したらいいかというアドバイスをしてもらえるかどうかにかかっています。お子さんに対するカウンセリングがどうこうというよりは、親御さんの相談に対応してくれ、かつ必要に応じて学校の先生にも連絡をとってくれるカウンセラーであることがポイントになります。まずは、親御さんにとって信頼できる、ウマが合う、かゆいところに手の届くようなアドバイスをしてくれるなどの相性を重視したほうがいいかもしれません。 |
いい子すぎる子はカウンセリングに向いていない
霜村 | 「カウンセリングに行かせたほうがいいの?」という質問に対する私の答えは、「行かせたほうがいいとは必ずしも言えない」ということです。 カウンセリングを受けるにも向き不向きがあって、たとえば、いい子すぎる子はカウンセリングにはあまり向いてないかもしれません。いい子としてふるまうあまり、疲れて不登校になっている場合もあります。こうしたお子さんの場合、カウンセリングでもいい子を演じてしまいがちで、本当の気持ちを出せないのです。そうなると、カウンセリングを受けてもあまり効果がありません。 こうした「いい子」については、カウンセリングよりもむしろ日常的な生活の場面で、親御さんが「それでいいんだよ」「これで大丈夫」といった言葉かけをしていくことが効果的なかかわりになると思います。つまり、毎日のいろいろな体験を通して試行錯誤をくりかえしながら、「自分」というものを形づくってもらうこと。それが出口に向かう近道のような気がします。 また、最初にお話しした幼さが残っていて、きちっと言語表現ができないお子さんの場合も、カウンセリングは言語的なやりとりをすることが多いので、言葉でのカウンセリングは難しいかもしれません。 このような場合は、「プレイセラピー」といって、遊びを通して子どものいろいろな感情を解放していく手法が合うかもしれません。プレイセラピーを積極的に取り入れているカウンセラーや教育相談室もありますので、そのようなカウンセリング機関の活用も検討されてはいかがでしょうか。 |
齊藤 | 私は公の教育相談室に勤務していますが、相談の申し込みをいただくときに、「子どもは行きたくないと言ってるんですが、よろしいでしょうか」とおっしゃる親御さんがいます。子どもの支援をしている相談機関で「親御さんだけの相談には対応しません」というところはありませんので、その点は安心してください。 親御さんに相談に来ていただくなかで、どうお子さんにかかわっていくかという点で工夫できることはたくさんあります。しばらくの間、親御さんだけが相談に来られて対応のしかたを工夫しているうちに、お子さんの状態がよくなったり、親子関係が改善したりすると、お子さんが「自分も相談に行ってみようかな」という流れになることもあります。 その意味でも、「子どもを連れて行けないから相談に行ってもしかたないんじゃないか」と思い込まずに、まずは親御さんだけでも相談してみてほしいと思います。 |
※この続きは、「Part.2」 で読むことができます。